都知事選に出馬している起業家の家入一真氏(35)は25日、クラウドファンディングで選挙運動資金など500万円を募るプロジェクトを開始した。期間は、1月31日の16時までなので1週間もないが、リリース初日で120人から150万円を超える資金が集まった。日本初となる同プロジェクトを起案した家入氏は、「政治は政治家だけのものではなく、ぼくらのもの。インターネットを使って、もっと身近なものにしていきたい」と話す。(オルタナS副編集長=池田真隆)

22日に行った出馬会見では、堀江貴文氏も同席した

家入氏は、1978年に福岡で生まれた。中学校2年生のときにクラスメイトからのいじめが原因で不登校になり、20歳までひきこもり生活を送った。その間、インターネットに夢中になり、ネットの中に「居場所」を見出していった。

個人向けレンタルサーバー「ロリポップ!」を開発し、クラウドファンディング「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」も立ち上げた。数々の事業を起こしていることから「連続起業家」とも呼ばれている。

ツイッターアカウントでは、自身の電話番号を公表している。ひきこもりや対人恐怖症、うつなど、逃げ場を失っている若者からの相談に乗り、その様子をネット配信することもある。

今回の出馬では、元ひきこもりの自身の経験から、「生きづらさや、社会に違和感を感じている若い人に居場所を作りたい」と意気込む。居場所の一つとして、「インターネット」の存在をあげる。

「学校や会社、飲み会などで、なんとなく居場所の悪さを感じてツイッターやネットに逃げちゃうことってありませんか。インターネットが逃げ場の一つになり得るのではないか。ぼくは本当にそう思っています」(家入氏)

資金を募っているクラウドファンディングは「シューティングスター」。予算の使途は、家入氏が立ち上げた「インターネッ党」の政治活動と、東京都知事選挙における供託金300万円、今後の選挙運動に使う予定だ。

政治資金規正法では、寄付は違反とされるが、資金を支援したときに、家入氏を講演会に呼べたり、一緒に食事する権利が得られるので、寄付とは定義されず、「インターネッ党」との売買契約となる。

500円から支援できるクラウドファンディングを行った狙いは、「政治参加へのハードルを下げること」と話す。「ぼく自身がクラウドファンディングで出馬すれば、今後お金の無い人だって選挙に出られるかもしれない。いろんな人が今よりハードルを感じることなく、政治に参加してみることができるかもしれない」。

家入氏は22日の出馬会見では、「インターネットを使い倒して、選挙運動をしていきたい」と話した。街頭演説は行わずに、室内からのネット中継で演説したり、政策を作るために、ネット上で意見を集めるなど、前例のない方法で首都決戦に挑んでいる。

出馬したことへの反響はネット上で話題となり、ジャーナリストの田原総一朗氏は自身のツイッターで、「家入さんが出馬したことで、都知事選が面白くなった。若い人の票がどれだけ集まるのか反応を知りたい」と投稿している。

・家入氏が挑戦中のプロジェクト⇒http://shootingstar.jp/projects/565