■コンパス無し、星や波の動きを頼りに日本まで航海
――ハワイに住んでいた頃に、伝統航海カヌー「ホクレア」で、数多くの航海を体験したそうですね。ホクレアではどのような航海をするのですか。
海図やコンパスを持たず、星や波の変化、海鳥や風の動きなどを読み取って、航海します。クルーは11人で、ナビゲーターと呼ばれるベテランが舵を取ります。
星は全部で200種類くらいあり、クルーは全員、それぞれの位置と角度を覚えます。そうすると、地球を覆う巨大な「絵」ができます。自分を中心として、大きなコンパスが動いているようになり、どんな場所にいても自分がどこにいるのかが把握できるようになります。
自然の中にはたくさんのヒントが隠されています。そのヒントを見つけ出して、何が起きているのか変化を把握し、前に進んでいきます。
海と空だけしか見えないカヌーから、陸が見えたときには、大地や緑、そこに暮らしがあること、それだけで奇跡的だと感じます。
■自分を支えるモノが直に見える暮らしは贅沢