明治グループで医療用医薬品などを取り扱うMeiji Seika ファルマ(東京・中央)は、今年6月に「パロキセチン錠」の販売を始めた。
日本では既に多くの製薬会社から安いジェネリック医薬品として発売されており、病院で診察を受ける際に買えるようになっている。
しかし、パキシルはその安全性が疑問視されている。今年2月29日に読売新聞の医療サイトに掲載された記事では、パキシルを服用した際の衝動性を亢進する副作用について指摘している。
パロキセチン錠にも危険な副作用があり、処方された患者は慎重な服用を強いられる。Meiji Seika ファルマ自身も、ネット上で「医薬品インタビューフォーム」(24ページ)を発表し、この薬の危険性を「警告」している。
「海外で実施した7~18歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照試験において有効性が確認できなかったとの報告、また、自殺に関するリスクが増加するとの報告もあるので、本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること」
大うつ病性障害とは、うつ病のこと。精神的に不安定なうつ病の患者に、処方された量を守り続けられるだけの確かな自己管理能力があるだろうか。
「薬を使わない精神科医」として、『自分の「うつ」を治した精神科医の方法』(KAWADE夢新書) などの著作を持つ湯島清水坂クリニック の宮島賢也院長は言う。
「かつて薬を出していた時、『処方量を守れない』と告白してくれた患者は全体の1割程度でした。しかし、実態はもっと多いかもしれない。ほしい薬が出ないと別の病院へ転院してしまったり、『初診です』と言われると信じざるを得ません。私も昔は『安ければ患者が喜ぶ』と思っていました。でも、今は脳をいじる薬は処方しないほうが良いと考えています。うちの病院では、薬を減らしていくために出すことはあっても、これから飲み始めたい方には勧めません。実際、私は3年以上、患者にほとんど薬を出していないが、針灸や食事療法、入浴などのリラックスによる生活改善などで十分に治療効果は出せています。まずはメンタルセラピーで『生まれてきてよかった』と思ってもらう。それからなら、減薬も速やかにできます」(今一生)
●Meiji Seika ファルマが発表している「医薬品インタビューフォーム」