「参加者の大半がミュージカルを初めて体験するので、できないことだらけです。大人になってからの『できない』という感情は、恥ずかしさを伴うものであり、萎縮してしまったりしがちですが、 毎週末の練習で自分が取り組んだ分だけ必ず成長はしているものです。そういったところを、認められるような働きかけをしています。 自分を信じることが出来なければ、ステージで『表現する』ことはできません。 ミュージカルというステージで表現できれば、社会というステージで表現することができます。 表現することは『生きること』。自分を解放することで、世の中への働きかけ方が変わってくると思います」と、中島さんは話す。
また、仲間との目標の共有も大切だという。
「100人の仲間と100日間でミュージカルを作るわけですが、長期間にわたるので目標を見失いがちです。 私たちは単にミュージカルを作ることを目標としているわけではありません。このミュージカル作りはあくまで手段で、 その先には日本社会、未来を心豊かなものにしていきたいという思いがあります。のめりこめばのめりこむほど、 目標が小さくなってしまうので、グループトークなどを通じて、常に社会を意識した動機付けを行なっています。 自分たちがミュージカルを作ることが、観に来てくださる方々、つまり社会に対してのなんらかの「きっかけ」になると信じているからこそ、 9年間にわたって、満席の会場を生み出せてきているのではないかと感じています」と話す。
参加者たちの参加動機も、「閉塞感からの離脱」や「出会いを求めて」など多様である。
ある参加者は、「コモンビートのミュージカルの環境は、やればやるほと、返ってくるものが多い世界です。誰が評価するわけではなく、全て自分次第、自己責任です。そうした環境の中で自分を解放したいと思う人は、案外多くいて、学生の頃のように仲間と一緒に気兼ねなくひとつのものを作る喜びを感じたいと思っているのではないでしょうか。 結果的には、コモンビートで自分を解放できるようになり、会社で感じていた閉塞感を取り払う人が増えているのではないかと思います」と話す。
同ミュージカルは、東京、中部、関西で年に各1回実施されている。(オルタナS副編集長=池田真隆)
・NPOコモンビート
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