無農薬栽培のお米を買うと、生産地の学生に海外渡航や留学の機会が生まれる。安全なお米の購入が生産者と学生の両方の支援につながる「熊野川翔学米」というプロジェクトが和歌山県新宮市でスタートした。

お米はインターネットなどを通じて1kg1,000円で販売され、500円は生産者に500円は学生の支援に使用されるという仕組みだ。

企画者は大学を休学し、現地のNPO「山の学校」でインターンをする田斉省吾さん。田斉さんは「山の学校」が企画した若者の滞在研究プロジェクトに参加し、平成24年4月から同市熊野川町で生活。少子高齢化、跡取り不足、人口の減少という問題を抱える同市の活性化のために研究活動を行なっている。

その一環で、約14アールの田んぼを借りて自らお米作りにチャレンジ。今年度は田斉さんが生産したお米とNPOの代表が生産したお米を「翔学米」として試験的に販売し、来年度以降は現地生産者のお米を翔学米として販売していく予定だ。そのため今年度は田斉さんの収益分も全額学生の支援に回される。

「大学4年間では将来を決める期間としての学びの時間が短すぎる」と感じていた田斉さんは、もっと若いうちから世間や将来についての学びの場を提供できればと考え、同プロジェクトを考案。既に第1期生の募集が開始しており、まもなく最初の翔学生が誕生する。

田斉さんは復学し一度新宮を離れ、地元の千葉県松戸市に戻るが卒業後はまた新宮に戻る予定とのこと。「将来、子どもが出来た時のことを考えると、住む街の教育環境が充実していることは大切」と、実際に移住することも見据えながら熊野川翔学米プロジェクトに力を入れている。

休学し、新宮市の限界集落でお米作りに励む田斉省吾さん

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