このような現状を踏まえ、同法人は「一人ひとりが創造的に考え、思いを実現し、自らの手で発信していけるようになること」を目指し、昨年11月、一般の人を対象に、芸術創造活動やその支援をする人材育成プログラムを始めた。

その狙いを井手上さんはこう話す。社会にアートを届けるとき、企画者が当事者意識を持って、社会とのかかわりを考え、「どのようなメッセージを子どもに届け、アートを通じてどう変わってほしいか」を練ることが重要だ。

座学だけでなく、現場を運営することで初めて学べることも多い。そのため、少人数制で、参加者のバックグラウンドや経験値を踏まえて、一緒に企画し、実行する講座が開かれた。

参加者で会社員の三宅章太さん(27)は「学生時代に音楽活動をしていたことから、芸術に関わる仕事をしたいと考えていたが、子どもの芸術活動を実践的に学べる機会はあまりなかった。重本さんや井手上さんが子どもと接する様子から、子どもへの問いかけの仕方や発想の促し方など、ワークショップが円滑に進むように支援する方法を学べた」と話した。

井手上さんは「アートマネジメントの現場に答えはなく、ワークショップ運営を通して、参加者に『正しいやり方はない。目の前の子どもやアートに対して、自分がどうアプローチしていけるか』を学んでもらったことが一番の成果だと思う」と話した。

現在の日本の文化環境で、アートマネジメントの「プロフェッショナル」を目指すことは難しい。井手上さんは「主婦や学生、他の仕事に携わる社会人が、アートに関心を持ち、身近な子どもや地域に対して、芸術表現活動を展開していけるようになれば」と語った。(オルタナS関西支局特派員=服部英美)


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