自信を持ちたいとは誰しもが思っているだろう。しかし、いきなり「自信を持て」と言われても持てないのが人間である。大分市役所に務めていた板井麻衣子さんは、25歳のときにいきなり、2010ミス・ユニバース・ジャパンに選出された。モデル経験もなかった彼女はいかにして、自信を持てたのか聞いた。(聞き手・オルタナS副編集長=池田真隆)
——エシカルファッションに関心を持ったきっかけを教えてください。
板井:ファッションに関心を持ったのはミス・ユニバース・ジャパンに出場したことがきっかけです。当時25歳で、大分の市役所に務めていたので、モデル経験もまったくありませんでした。
ハイエンドから最新トレンドまで、色々な服を着たおかげで、ファッションやヘアメイクで自己表現する楽しさを実感しました。
私は、もともとストーリー性のあるものには無性に心惹かれるタイプなのです。それがファッションにも波及し、普段身につけるモノが、どんな素材でできているのか、どこでどんな人によって作られているのか気になり出し、安心して、胸を張って着られるものに面白さを感じました。
エシカルファッションブランドの「オムニピース」のアンバサダーとしての活動も2010年から始めたのもその頃です。
アイテムを購入することで、アフリカに学校を作り、教育支援に繋がるブランドです。つまり、着る自分だけではなく、そのアイテムの向こう側にいる人たちもハッピーになれるのです。
そこに魅力を感じ、イベントなどでその活動や意義、エシカルなライフスタイルついてなど、お話をさせていただいています。「社会貢献」というワードが前面に出ているというよりは、「自分が素敵だなと感じるモノの背後をたどると、さらに素敵なストーリーが待っている」、そのさりげなさというか、いい意味での無理のなさに大きな可能性を感じています。
——板井さんが世界中を見て考えた「美しさ」とはどのようなものでしょうか。
板井:ミスユニバースでは、80カ国ほどから代表が揃います。そこで、世界中のどこでも美しいと見られるユニバーサルビューティーなるものがあるのか、私なりに分析しました。
代表に選ばれた女性たちは、バックグラウンドが皆異なり、話す言葉や育った環境も違います。色々な美しさがあるので、「べき論」では言えません。ですが、世界中から集まった代表たちに共通していたのは、自分自身を掘り下げて、これまでを見つめて、そこから、誇りを持って自分が信じている美しさを表現していることです。
その人の後ろにある背景が美しさのもとになっている気がしました。
——エシカル系の女性がきれいに見えるのは、背景のストーリーに要因があるのですね。
板井:外見的な美しさは変化していくものですが、その人の背景も見える美しさは永遠に輝きます。よく、ユニバースでは、「自信を持ちなさい」と言われていました。
しかしモデル経験もなかったので、いきなり自信と言われても…難しいですよね。でも、世界大会で感じたように、これまでの環境や背景を信頼して認めてあげられること。そこから次のステージを目指すこと。 「自分を信じる」ということが自信につながっていくのだと今は感じています。
だから、普段から周りの環境問題や社会問題へ敏感になっておくことが大事だと気付きました。今でも、鈍くなってしまったと感じるときは自然の中に行って気分をリフレッシュします。
——オススメのリフレッシュスポットはどこでしょうか。
板井:緑の多い場所や地元に帰ったりしていますが、都内ですと、町田市にある白州次郎の武相荘などが好きですね。
武相荘を囲む雑木林の空気が好きです。素朴なのですが、すごくリラックスできる気がします。変に着飾っていなく、本物がそこにある気がするのです。
——コンプレックスは誰しもが持っていると思います。板井さんは、コンプレックスとどう付き合ってきましたか。
板井:語弊を恐れず言うのであれば、「ただ綺麗なだけでは面白くない」、そんな言葉をミス・ユニバースのトレーニング時代に投げかけられたことがあります。「各国代表が勢揃いする世界大会では、自分の持てる全てで印象に残らなくては」と。
印象に残ることは、その人ならではの魅力、つまり個性が見えることだと思いますが、コンプレックスはその個性を見つけるための大きなヒントになります。
自分が気にしているその部分は、本当に周りの人にとってもネガティブに映るものなのか。
そうではない場合もきっとあるはずです。例えば、それが外見的なものであれば、ヘアメイクやファションで見せ方を変えることで、自分にしかないものが表現できるかもしれない。
コンプレックスはチャームポイントへ転換することもあり得ると思うのです。勇気と覚悟のいるものですが、決して投げやりな意味ではなく、オープンにすることが変化を生むきっかけになればと思います。