私が会社員を辞めて、独立・起業してNPOを始めようと思ったのは26歳のときでした。当時「コミュニティーづくり・支援の事業を立ち上げる」と言って独立・起業しようとしていた私に手放しで賛同・応援してくれる人はおらず、「大丈夫なの?」「それ事業になるの?」「それで食べていけるの?」と懐疑的な(思いやりある)声が大多数でした。
それでも「自分が信じたもの」と「着想」をもとにいざ独立・起業してみると、それはなかなか日の目を見ない困難な道でした。
28〜29歳ぐらいのときは最も貧乏で、電気代やガス代が払えずに止められたことも幾度もあり、結婚して子どもが産まれて家族を築いていく大学時代の仲間を見ながら「俺は何をしているんだろう?」と不安に思うこともありました。
この頃は両親に会うことも気が引けて実家に気軽に帰れずにいました。なかなか成果が出なくてもがき苦しむ日々が長く続きました。
それでも人生総体としてはとても充実していて幸せでした(今もとっても幸せです)。それはひとえに「自分で選択した道を歩んでいること」「自分が信じているものを純粋に追い求める日々であること」なのだと思います。
貧乏で日の目をみない日々であったとしても、「自分が信じたものを追い求める日々」がもたらす魂の高揚は、すべてがうまくいっていなかったとしても続けられるだけのパワーを持っていました。
今は少しずつサービスも整い始め、ネットワークも増え、微力ながら世の中のNPO・市民活動・コミュニティーに影響を与えられる存在になろうとしています。
あの頃の苦労とあきらめずに続けてきたことが少しずつ日の目を見始めていることはとても感慨深いです。
私がNPOで得たもの。それは「社会を良くすることに自分の人生を投入している充実感」。そして「自分の人生を自分で選択している潔さ・心地良さ」だと思っています。(寄稿・NPO法人CRファクトリー代表呉哲煥)
・CRファクトリー
・NPOで働いて得たことと、失ったこと一覧へ戻る