大学3年のとき一年間休学し、世界22カ国を周った。濱田さんは、「海外で働くことに興味があったのに、現地を知らなかった。現地を見ずにこのまま就職活動をするのは、リスクだと思った」と話す。

ただ旅をするのではなく、現地の生活に入り込みたいという思いから、6カ国でボランティア活動を行った。「学生だから得られる自由な時間を使って別の世界をたくさん見た方が、自分の選択肢も広がる。他の景色が見られるのに見ないのは、もったいないと思った」と、当時を振り返る。

帰国し、日本で働くか海外で働くかを考えた際、海外で働く女性の情報がほとんどないことに気が付いたという。日本で働くことを選び、大学4年の5月30日に本命の会社から内定をもらった濱田さんは、就職活動を終えた。なでしこボイスが誕生したのは、それから約2週間後の6月11日のことである。

サイトを作るきっかけは、海外で働きたいと思っていたが、「駐在妻として海外に住む人のブログはあっても、現地で働く女性の情報を得られるものがなくて困った」という実体験にある。「ないのなら、自分で作ろう」と決意し、同じ情報が欲しい人は他にもいるはずだと考え、サイトを作って情報を発信することにしたのだ。

「キャリアというのは、女性と男性で全然違う。女性は結婚や出産でどうしても変化せざるを得ない。それを踏まえた上で海外就職している人は、どうやってキャリアを作っているのかに興味があった」と、濱田さんは言う。

就職活動を終えた後、すぐに企画書を作り、色んな人に見せて意見を聞いた。そして何人かの仲間からの協力を得て、なでしこボイスは「海外で働く女性へのインタビューサイト」として、リリースを迎えたのだ。

そのあとの長期休みは、ずっと海外にいたという。同サイトのモットーは、「直接会いに行く」こと。自分の目で見て、話を聞く。人からの紹介などで取材相手を見つけ、この2年間で訪れた国は9カ国、約125人にインタビューを行ったというから、その人数の多さに驚くばかりだ。

取材相手の年齢は様々である。職種なども関係なく、「社会をより良くしていこう」という思いや信念を持ちながら、現地で活躍している働く日本人女性を主に取材しているそうだ。

「発信することを突き詰めたい」

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