なぜ若者の投票率は低いのか。直近の10年間では世代別で見たときに最低の投票率を記録し、最も高い60代、50代と比べ約半分だ。若者の選挙離れをジャーナリストの田原総一朗氏は、「自立したため」と分析する。

田原氏いわく政治に関心を持つパターンは2つある。1つは、日本の行方を考え、政府のあり方について問題視する場合。もう一つは、「お上意識」だという。この意識があると、何か問題が発生すれば政府が動いてくれるだろうと思うようになる。

一方、若者が政治に関心を持てない原因は2つあると言う。一つは、「政治を知らないこと」、もう一つは「お上をあてにしなくなったこと」だ。ソーシャルメディアの影響もあり、国を超えて活躍する若者が増えていることも、それを象徴している。

「そもそも日本には規制が多い。ベンチャービジネスが育たないことから明白だ。日本の法人税は40%、中国や韓国は25%、香港やシンガポールは17%である。日本では所得税も高く、自由にビジネスを展開できない規制が多い。だから、海外でビジネス展開する若者が増えているのだ」(田原氏)

海外でビジネス展開する若者の一人に社会学者の古市憲寿さん(28)がいる。中国などの海外でベンチャービジネスを展開している。しかし、住む国は日本だ。なぜなら、「競争もなく、平和で暮らしやすいから」だ。ビジネスと暮らし、それぞれに最適な場所を見つけて実践している。

このように国に縛られずに躍動する若者が増えていることで、田原氏は、「政治に頼る若者が減っていき、無関心になっていく」と見る。

若者の意見が反映されず政治が進むと課題はさらに山積みになる。例えば、年金問題や少子化問題もその一つだ。地方では過疎が進み、中央でも高齢化が進む。若者たちは海外に出て行くと、日本は今後どうなるのか。

ユースクリエイトの原田代表は、田原氏の意見に対してこう答える。「海外に出て行き自立している若者もいるかもしれないが、その数はまだまだ少数。さらに、選挙に行かないことで、自立している当事者は困らないかもしれないが、周りの人や次の世代に影響が出る。自分一人がよければいいわけではない。大人として責任を持ってほしい」(オルタナS副編集長=池田真隆)

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