ホンジュラスは男性社会で、女性は家庭を守るというのが一般的な構造だ。本来大きな可能性を持つ女性に発言権がなく、そうした現状に彼女たちは自信を失くしてしまっている。プログラムにおいても、女性の生産活動を活発化し、家計単位での収入の拡大を目指すことは課題の一つとされている。エル・パコン村に起こった変化を、コーヒー生産者の1人であるクリスティーナさんはこう語る。

「数年前まではコマルでコーヒーを焙煎していた私たちが、自分で工場を持てるなんて夢にも思っていませんでした。工場が稼働し始め、これまで1日かけて作っていた量をわずか30分で生産できるようになり、収入も徐々に増えてきました。コーヒー生産者グループは女性が主体的に活動できる場となっており、これまでの男性中心の社会が変わりつつあります。村の中だけでしか流通していなかった私たちのコーヒーですが、いまでは世界中の人に飲んでもらいたいと思っています。私たちにとってはまさに革命のような出来事ですが、みんなで勇気を持って一歩踏み出したからこそ、今の私たちがあるんです。日本の人たちにも私たちのコーヒーが届けられるように、一歩ずつ前に進んでいきたい」(クリスティーナさん)

自分たちにできることを一つずつ積み重ね、その過程で彼女たちは小さな成功や失敗を経験してきた。「私たちにだってできる」と意気込むクリスティーナさんの顔は、今では自信に満ち溢れている。エル・パコン村のコーヒーを日本で飲むことができるのは、そう遠い日のことではないかもしれない。(オルタナS特派員=清谷啓仁)


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