――現在の活動に至ったきっかけは何だったのでしょうか。

楊:私は幼少期を中国の農村部で過ごしたのですが、大学生の頃に、当時住んでいた村を一度訪れたことがあったのです。現在も村で暮らす友人の様子を見て、「この差はなんだ…」と唖然としました。物質的にも、チャンスという面でも恵まれている自分。家族に連れられて日本に帰国しただけで、自分で何か強い意志を持って行動してきたわけではありませんでした。

もちろん全ての人がそうではありませんが、自分よりもずっと意欲があるのに、環境が違うだけでチャンスを掴めない人たちがいることを身を持って知りました。だからこそ、日本という恵まれた環境で育った自分のやるべきことは、そうした人たちのために行動することなのではないかと思うようになりました。一種の使命感でしょうか。これまでに様々な出会いがあり、たくさんの方々の支えがあって今の自分がある。そうした方々への恩返しとしても、誰かの支えになれるような活動をしていきたいと思っています。

青年海外協力隊に志願したのも同じ理由からですが、「恵まれない子どもたちに対して、少しでもいい環境をつくる」ということを使命に、今後も活動を続けていきます。

――そうした考えに辿り着くまでには、数々の苦労があったかと思います。

楊:学生時代、周りの友人が就職活動を始める中、私はずっと一人で「自分は何がしたいんだ、何ができるんだ」と自問自答する日々を過ごしていました。特に日本では新卒で就職することが大きな社会構造となっていますし、周囲から「いつ就活するんだよ、いいかげんにしろよ」と咎められることもありました。それでも私は自分自身の可能性や、使命感を疑うことはありませんでした。

大切なことは、何事も「真剣に」取り組むことではないでしょうか。やりたいことがいますぐに見つからなくても、明日見つけられるように、真剣に悩む。自分は何がしたいのか、いままで何をやってきたのか、どういうことに対して反応してきたのか。そういうプロセスがあれば、悩みながらでも少しずつ自分の芯ができてくる。

やりたいことは、一朝一夕で見つかるものではないと思います。真剣に悩み、行動した先に、ようやく一筋の光が見えてくる。そうやって少しずつ前に進み、掴み取るものなのではないでしょうか。

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