エクアドル貧困層の多くは、小規模農家や女性、先住民、障がい者をはじめとする社会的弱者と呼ばれる人々だ。職に就かず安定した収入を得ることができない社会的弱者に対しては、職業訓練を通じた支援が求められている。
こうした中、JICAは社会的弱者に向けた職業訓練におけるカリキュラムの策定や教材開発、訓練コースの運営管理手法などの指導に当たってきた。調理・縫製・電気・建築・機械金属・自動車整備など様々な分野で訓練を実施しており、これまで10,000人以上の修了者が生まれている。学んだ知識や技術を生かし、就職や起業に至るケースも徐々に増えてきているという。「これで念願の自分の店を開くことができる」と、涙をにじませる修了生もいるほどだ。
「社会的弱者への職業訓練コースが始まる以前、彼らには収入の手立てもなければ、それらを学ぶ機会すら与えられていませんでした。だからこそ、彼らは手にしたチャンスを生かして一生懸命学ぼうとするんです。社会的弱者への支援開始から5年が経過しましたが、現在ではコース修了者の約6割が就職や起業に至っています。彼らが自分の力で未来を切り開いていく姿を見るのは、何より大きな喜びです」と菊池さん。
■企業ニーズに基づく職業訓練