社会的弱者への支援に先駆け、SECAPはこれまで産業人材の育成を担う公的機関としての役割を果たしてきた。国力の底上げには、こうした取り組みは欠かせないが、エクアドルにおける従来の職業訓練方法は、必ずしも産業界の人材ニーズに即したものではなかった。そうした反省を基に、同国ではよりニーズに適合した需要主導型の職業訓練手法であるCBTアプローチ(職務分析に基づく実践的な職業訓練)の導入が進められようとしており、かかる実現に向けてJICAの継続した支援が行われている。
2011年に設立された職業訓練庁が中心となり、様々な企業や労働組合の代表者、そして職業訓練センターの指導員を集めて職務分析が行われる。「どの職種に、どのような知識・技能が求められているか」をプロファイリングし、それらを基にSECAPが職業訓練のカリキュラム開発を行っていく。
「従来の職業訓練は、供給側の考えのみで行われていました。『こういうことを教えることができます』という、あくまで供給側の都合でしかなかったんです。一方、CBTアプローチでは、実際に企業が求めていることを基に訓練カリキュラムを作成・実施していくので、企業側のニーズにより近い職業訓練が行うことができます。これまでの日本からの支援によって、各訓練センターには高度な知識・技術が必要とされる産業機材も導入されており、企業や受講生から高い関心を持って頂けています」(菊池さん)
■広がる支援の輪