私は、シリア北部の野戦病院で宿泊をしていた。病院に到着をした初日、近くの町に政府側が空爆を行い、被害に遭った人が複数名緊急搬送をされて来た。

病院へは、バンを改造した手製の救急車で患者を運んでくる。十分な設備もないので、移動の最中に死亡するケースも少なくは無い。まず、運ばれてきたのは12歳の少年だった。彼は、パン屋に買い物に行き、商品ができあがるのを待っている時に空爆の被害に遭ったという。

学校を改装して作られた病院に着いた時には、すでに足の皮膚が捲れ上がっており、中が見えていた。手術室に運ばれる間には、大量の血液が床に垂れる。

少し、皮膚が焦げたような香りもした。少年を手術室に移動していると同時に、別室ではボランティアの医師が少年への輸血の為に検査も無しで、自分の血を抜いていた。

緊急治療を受ける子どもと治療をする医師 写真:吉田尚弘

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