「高校生の困りごとをヒアリングしていたときに、『進路に悩んでいる』との声が多く聞かれました。そして、その悩みの一側面に、『塾に通いたくても通えない』という声がありました。それまで受験勉強は、自分自身がやり切れるかどうかの問題だと捉えていましたが、塾・予備校に通うためには、年間100万円ほどかかり、勉強意欲があっても、行けない生徒がいることが分かりました」(松尾さん)

近年、18歳人口は全国で約120万人ほどいて、そのうちの約61万人が大学に進学する。その中でAOや推薦入試を除く約55万人が一般受験をする受験生だ。同社が一般受験で大学進学に挑む受験生に対して行った調査では、受験生の約7割が、「塾に通いたくても、経済的事情で通えない」ことが判明した。

松尾さんは、「何回調査しても7割もの受験生が同じ悩みを抱えていました。これは、大きな社会課題だと認識しました。保護者に聞くと、子どもの一生のためだから、お金はなんとかしたいという方が多いのですが、子どもに聞くと、大人以上に気を使っているのか、親に言い出せないという声が多く聞かれました。大学全入時代と言われていますが、行きたい大学に行くためには、勉強しなくてはいけません。教育の機会を経済状況でなくしてはならないと思いました」と話す。

こうした課題意識が予備校自体をオンライン化するプロジェクトに繋がった。トライ&エラーを繰り返しながら人づてで出演する講師や報酬体系などをつめていき、およそ半年間でサービスリリースまでこぎつけた。

松尾さんは当時をこう話す。「無料で提供する過去問も大学の使用許可は当然必要なのですが、加えて問題の中にある、例えば英語の長文エッセイや図表などの著作権も確認が必要になってきます。なかには出典が書いていないものもあり、1点1点すべて確認していくのは非常に大変でした。リクルートで学習コンテンツをつくるのは初めての挑戦です。最初は正直不安もありましたが、最終的には『受験に不平等がある』という点と、その時点で考えられる解決する方法は『オンライン動画として安く提供する事』という点をリクルート内で意識を合わせて本気で取り組めたことがプロジェクト実施の大きなポイントだったと個人的には思います」。

■勉強を好きになって

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