アースカラー(東京・墨田)は自然共生型の生き方を学ぶゼミ「地球のしごと大学 ネクスト200年創造学部」をオープンした。講師陣には、哲学者の内山節氏、『里山資本主義』『デフレの正体』(共に角川書店)の著者藻谷浩介氏ら第一線の識者25人を揃え、約1年間を通して、座学と実践を学ぶ。同社の高浜大介代表(34)は、「『暮らし』『務め』『稼ぎ』をバランス良く取り戻す生き方を実現できるようにしたい」と話す。(オルタナS副編集長=池田真隆)

アースカラーの高浜代表

「ネクスト200年創造学部」は、アメリカインディアンの教えである7世代先に充たる200年後の社会を考えた暮らし方を目指す場所だ。高浜代表は、「盲目的な経済発展を追求したことで、地球環境にさまざまな弊害が出ている。稼ぎは得たが、暮らしと務めは貨幣で代替している。このバランスを取り戻したい」と話す。

座学は主に東京で行うが、フィールド体験では岐阜や千葉などの農村に出向く。高浜代表は、「農村には3つの仕事がある」と言う。「稼ぎ」「暮らし」「務め」だ。「稼ぎ」とは仕事で収入を得ることだ。「暮らし」とは、衣食住にかんする自給生産・家事労働で、「務め」とは、地域住民との共助の活動だ。

「現代人は、稼ぎに忙殺され、暮らしと務めがおざなりになっている」と高浜代表は指摘する。このバランスを取り戻すために、農村で実体験する。豊かな生き方は、この3つのバランスに影響を受けるという。

同社は、今年で設立3年目を迎え、東京本社と千葉県佐倉に支社を構える。佐倉では、東京ドーム6個分に相当する規模の田んぼで田植えを行う。朝8時半から陽が暮れる17時半までは農作業をし、それ以降や雨の日などに経営を行う。

高浜代表は新卒で大手国際物流会社に就職し、教育系ベンチャー企業の人事を経て、アースカラーを起業した。日々の仕事に忙殺され、うつ病を発症してしまった人々を見ていくうちに、これからの生き方を考え直したのがきっかけだ。「ホワイトカラーでも、ブルーカラーでもなく、自然と共生したアースカラーな人を増やしていくこと」をミッションに据えた。

高浜代表が農村に惹かれた点は、「土地に根差した生き方」だ。「先祖代々から受け継いできたものを継承し、役割を感じる生き方に惚れた」と話す。「農業は自然を相手にして営んでいく。24時間、誰でも代替可能な工業ではない。ここで暮らすことで、あなただけの役割を感じ、足るを知る生き方を学んでほしい」(高浜代表)。

座学と実践を修了すると、高浜代表によるキャリア相談もある。ゼミで学んだことを生かした仕事先を共に考える。

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