倫理的という意味を持つ「エシカル」を絵にするとどうなるのか。アメリカニューヨークを代表するポップアーティストのピーター・マルコ氏は、「エシカルは基準がないので、難しい」としつつも筆者の質問に、その場で絵を描いてくれた。(オルタナS副編集長=池田真隆)
マルコ氏は、言葉遊びを得意とする。エシカルを考えたとき、「wild life conversation(野生生物との共存)」と「wild life conservation(野生生物の保護)」をかけあわせた。
そして、通訳のノートにポップアートを描き出した。ノートには、肉食の象徴であるライオンと、草食の象徴である象が現れた。ライオンは象に、「草を食べすぎで、太りすぎだぞ!」と指摘し、象は、ライオンに、「肉食は殺人者だ!」と応戦する様を描いた。
つまり、エシカル(倫理観)には、絶対的な基準がなく、人それぞれの立場で「良いこと」の見解が変わることを絵で表しているのだ。
マルコ氏の活動は1980年代後半に、ニューヨークの壁に絵を描くことから始まった。アクリル絵の具を使い、鮮やかな色と大胆な輪郭で描くアートに、若者たちが魅了された。
ローワーイーストサイドのオーチャード通りにアートギャラリーやショップを開店するようになり、9・11のときは、ニューヨークのブルームバーグ市長からの依頼で、同市の市章をモチーフにした絵を寄贈したこともある。今回は、絵の寄贈や東北の子どもたちとのお絵描き教室を行う「石巻復興支援マルコ・プロジェクト」のため来日した。
・ピーター・マルコ氏の公式サイト→MARCOART JAPAN Official Web Site