住空間創造ゆいまーるClub(大阪市北区)は環境に優しく、快適な住空間を創造する工務店だ。主な取り組みは自然素材や環境循環の考えを取り入れた住空間とライフスタイルの提供である。社内、現場で消費する電力は自然エネルギーのみで賄い、2つのルール(1自然に返すこと以上に資源をとらない。2地下の資源よりも地球に還る地上の資源を使用する)と4R(リサイクル、リユース、リデュース、リターン)を実行している。「満足以上、期待以上の仕事が感動を生み出す」と語る加藤栄代表(45)に仕事に込めた思いを聞いた。(聞き手・オルタナS関西支局特派員=喜田真輔)

自然素材による効果を実演する加藤栄代表=大阪市北区

――工務店の目線から環境問題を意識し始めたきっかけは何ですか。

加藤:約3年前のリフォームプロ(神奈川県川崎市)の社長との出会いがきっかけ。「エコで賢い暮らし方」を学び、自然素材の環境面における役割の大きさを意識し始めた。

その後、自分たちにできることを探していく中で自然と人間の間にある循環に注目した。人間が再生可能な地上の資源を活用し、経済活動を行うことでその循環は成り立つ。しかし、経済が発展し、地下の資源を過剰に使用することで循環は失われている。

持続的に循環を可能にするには環境や省エネだけを意識するのではいけない。経済が成長し人間が健康的で快適な活動が行えることが重要。だからこそ自然、経済、人間が持続的に循環可能な社会を環境循環型住宅で実現していきたい。

――「エコで賢い暮らし方」の普及に向けた今後の目標を教えてください。

加藤:中古住宅を環境にとって正しい住宅にリノベーションしていくことが目標。これから増えていく継ぐ人のいない古民家や再生できない建物を魅力と希望のある住空間にしていきたい。

そのためには日本人のリノベーションに対する意識を変えていく必要がある。日本では築年数の長い建物の価値は低く、スクラップアンドビルドの家づくりを行うので欧米に比べ住宅の寿命は短い。

中古住宅が安全、安心に暮らせることや珪藻土を利用した塗り壁、エコクロスなどの自然素材を使用した建材のメリットを多くの人に知ってもらい、リノベーションに対する意識を変えてもらうための働きかけをしていく。

――仕事の中で人と人との繋がりを強く意識するようになった背景は何がありますか。

加藤:団体が立ち上がる経緯がこの考え方の背景にある。学生時代に工学を学びながら不動産会社でアルバイトとして働き、卒業後に不動産業界に入社した。

その後バブルがはじけ不動産業界が不調になった。その影響は大きく生活が困窮し途方に暮れたが、運良く周囲からの支援に支えられ独立を果たすことができた。その中で、利害関係だけの付き合いになりがちな社会人同士では難しいと感じていた繋がりが生まれた。この経験から仲間、信頼できるパートナーをつくることの大切さを学び、人と人との繋がりを大事にしていこうと思った。

――人との繋がりを大切にする考え方は仕事をするうえでどんな変化を生んだのでしょうか。

加藤:愛情と感謝の気持ちを常に持つようになった。社員全員が企業は人なり、現場も人なりをモットーに掲げて仕事をしている。相手に関心を強く持ち、時間をかけて取り組むことで感動を生む仕事ができるようになった。かつては、土地を売るという仕事はこなす感じで満足感はなかったが、今はお客様からの感謝の言葉にやりがいを感じている。

また経営に関しては、人がいるから企業は成り立つと考えるようになった。お金やモノより人こそが大切。経営とは人育てという考えのもと、たくましい集団を目指す。これから人数が増えても社員全員が同じベクトルを持つようにしたい。

――同じベクトルを持ち、共に温かい住空間を創っていく新たな仲間に求めることは何でしょうか。

加藤:一番に求めることは感謝の気持ちを持てること。素直で誠実な人と共に仕事をしたい。スキルや技術は業務の中で身につくので自分にできないことは絶対ないと信じ、諦めずに自分の可能性を引き出してほしい。

住空間創造ゆいまーるclub