「バッジをつけて見えない障がいを知ってもらおう」と、「見えない障がいバッジ」という専用バッジを制作したプロジェクトがある。「わたしのフクシ。」だ。ツイッターでのつながりから、同プロジェクトは動き出した。(今一生)

見えない障がいバッジ

見えない障がいバッジ

難病、内部疾患、発達障害など、社会で認知されず、福祉政策でも「制度の谷間」に落ち込み、サポートが受けにくい「目に見えない」障がい、困難、痛みをもつ人が数多くいる。彼らは電車で席を譲られることもなく、「怠けている」「わがまま」「やる気がない」と思われることもめずらしくない。

2010年の秋、「バッジをつけて見えない障がいを知ってもらうのはどうだろう?」という話題がツイッターのハッシュタグ#mienai_shogai で盛り上がり、このハッシュタグは4カ月にわたって活発に続き、2011年2月、ツイッターで繋がった人たちの手によって見えない障がいバッジの最初の試作品ができた。

その量産に取りかかったのは、難病を抱えた二人の大学院生。大野更紗さん(現・作家)と、社会福祉学を専攻しているせちろうさん。自分たちが生きてゆく社会を自分たちでつくってゆくネット世代の「難病当事者大学院生ユニット」は新たに2人の助っ人を得て、4人で小さく始めた。

障がいをもつ人には当事者用、もたない人には啓発用がある。当事者用・啓発用、キーフックタイプ・ミニフックタイプともに、1個350円+送料で入手できる。送料は5個ごとに82円。銀行振込の手数料は申込者負担。同プロジェクトにあるフォームから申し込めるが、現在は停止中(10月末~11月初旬に受付け再開の予定)。

この「見えない障がいバッジ」の事務局で、「わたしのフクシ。」のホームページを運営する編集部の児玉剛さんは言う。「バッジは2011年から3年間で3万個ほど売れました。『お守りみたいに使っている』とか、『駅でうずくまっていたら駅員さんが気づいてくれました』などの声が届いています」。

申込みの半分が啓発用だ。児玉さんは、「福祉の仕事をしている方や、学校で福祉を教えている方、発達障がいをもっている子の親御さんなどが広げてくれています」と話す。

しかし、「このバッジをつけた人に席を譲ればいい」という単純な認知を広げるものではないと言う。

「見えない障がいについて、1人から1人へと意味が伝わっていくことが大事。見えない障がいは難病だけでも5000~7000種類、その他を含めると、誰もが自分の友人に1~2人は当事者がいる計算になりますから」

バッジをつけている人がいたら、「お手伝いできることありますか?」と声をかけてみてほしい。

◆わたしのフクシ。
http://watashinofukushi.com/

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