「老老介護問題」を知っているだろうか?知らないならばこの問題について説明しよう。老老介護問題の背景には、「核家族化」「介護にかかる負担」「精神的な障壁」など、やっかいな課題が重なり合っているのだ。(山梨学院大学青山ゼミ支局=鈴木 雄大・山梨学院大学現代ビジネス学部3年)

息子介護をテーマにしたドキュメンタリー映画「和ちゃんとオレ」の一幕

息子介護をテーマにしたドキュメンタリー映画「和ちゃんとオレ」の一幕

 老老介護というのは、老人が老人を介護するという形態のこと。そして、この老老介護は現在介護者の51.2%(厚生労働省「2013年度国民生活基礎調査」)を占める。

つまり、高齢者(65歳以上)による介護が5割を超えてしまっているのだ。これは急速に高齢化が進んでしまっている現状を浮き彫りにしている。でもそれの何が問題かって?そう言えるのはこの問題にどれだけの課題が隠れているか知らないからだよ。

たとえば老老介護の課題には、「核家族化」「介護にかかる負担」「精神的な障壁」などがある。「核家族化」で起こる問題としては、緊急事態の際にSOS発信ができないという問題が考えられる。「核家族」というのはお爺ちゃん、お婆ちゃんが含まれない家族形態のこと。

子どもたちと離れて暮らす彼らには、SOS発信ができないという問題が発生するのだ。それなら周りの人に助けを求めればいいというのは甘い。確かにそうできれば一番良いけれど、次に出てくる問題が「介護にかかる負担」「精神的な障壁」だ。

まず負担の面では介護サービスを受けようにも、掛かる費用を払えないなどの金銭的問題、サービスを受けたくても施設に空き部屋がなく、待ちの状態となりそれまで自分たちで介護を続けなくてはいけない問題が起こる。

次に「精神的な負担」について。これには介護に関わる当人たちの価値観や他人を介入させたくないというプライバシーの問題があり、介護サービスを拒否してしまうことや、受けたいが費用が掛かるため安易に頼めない、サービスに抵抗感がある、家族に迷惑をかけたくないといった現状があるため課題解決は厳しい状況にあるのだ。

介護者が頑張りすぎてしまうこともある。「もしもボックス」が使えたり「ベイ○ッ○ス」がいたりすれば頑張りすぎることは無いと思うが、それはあり得ない。この課題解決については、サービスを受けやすい料金設定、施設の拡充、また心置きなくサービスを受けられるような心理的なバックアップ、老人同士という閉鎖された環境から外部に助けを求められるようなオープンな環境整備、介護を担っている家族へのサポートも重要になってくる。

日本の介護問題が深刻になっていく中、この「老老介護」を食い止めるためには多くの課題を解決していかなくてはならない。それも苦しい現状の中で。ならば自分たちがまずはこの問題に対して自分なりの考えや解決策を持つことも大事な一歩となるはず。まずはこの一歩から踏み出してみようと思う。

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