大人と子どもが交流することに対して、伊藤忠商事も意義を感じている。同社のCSR・地球環境室室長の小野博也さんは、「子どもの職業体験だけではなく、大人と子どものコミュニケーションを当イベントでは重視している。子どもたちには、さまざまな人と接することで、仕事のことを知ってもらい、学んでもらえれば。当イベント以外にも、冬には児童養護施設に訪問し、様々な職業を子どもに紹介する機会を提供したいと考えている」と話す。

参加した4施設へ伊藤忠記念財団が選んだ児童図書を提供した

参加した4施設へ伊藤忠記念財団が選んだ児童図書を提供した

■ 課題は、施設卒園後

ブルーフォートーホク代表の小木曽麻里さん

ブルーフォートーホク代表の小木曽麻里さん

ブルーフォートーホク代表の小木曽麻里さんは、児童養護施設の子どもたちが抱える課題として、卒園後のフォローと指摘する。「卒園後の状況を把握できなく、どこで何をしているのか分からない」。国としても施設を卒園した子どもたちの現状把握は行っていない。

卒園者は、支度金を施設からもらうが、その額だけでは、マンションを借りて一人で生活していくのは困難だ。そのため、土木作業員として、住み込みで働く者が多いという。しかし、小木曽さんは、「長続きしないと聞いている」と心配する。

施設にいる子どもたちは、親から虐待やネグレクトを受けたことで小学生のときに、不登校になる子が多くいるという。そのため、「学力が足りなく、高校に進学できる子は少ない」と小木曽さんは言う。学歴で、就職先が限られてしまうという課題もあるのだ。

■ 「おいでよ!東京」をモデルに

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