柔らかくて美味しい。見た所、ここで働いているのは、ムフトゥールの家族の女性達ばかりのようだ。ムフトゥールが機械を稼動させると、井戸水がすごい勢いで汲み上げられた。土に掘られた溝に沿って水が流れていく。溝からこぼれた水は、乾燥した土に吸収されてすぐに姿を消していく。水の大切さを改めて感じる。しばらく、その農園で過ごしたあと、再び「帰ります」と切り出す。村の中ながら、どこが道かも分からないような道を通って帰っていくとき2人の子ども達が居た。
道すがら話していると、お茶を一緒に飲もうと言ってくれた。ありがとうと礼を言い、子ども達に囲まれながら、お茶をご馳走になる。
この子ども達とどうやって遊ぼうかな、と考えて、今日は名前を覚えてみよう!と決めた。一人ひとりに名前を聞きながらアラビア語で書き、その横に日本語を書く。平仮名で書かれた名前を面白がってくれて、腕にも書いてくれ!という子どもも続出。名前を書きつつ、「彼がマトアブだよね。この子は・・・ジャミーレ?」なんて言いながら、何度も間違える僕に笑いながら付き合ってくれる。僕から少し離れた場所で、女性達が井戸端会議のように話している。
この日、大人の男性はあまりいないみたいで、帰る間際になって、子ども達の父親の羊飼いの男性と挨拶をしただけだった。「明日も来てくれるよね?」と子ども達が言ってくれる。嬉しくて、「うん」と応えた。
その翌日になり、少し悩んだ。連日行くことに対して。ムフトゥールにまず会わないといけないし、となると「またお前か」ということになりはしないか。それに、イスラムの休日である金曜日だ。相手への迷惑かもしれないというのは勿論のこと、平日は毎日色々と動いている僕の体力のことも気にかかる・・・。だが、朝ごはんを食べながら出した結論は「子ども達が待っている!」だった。約束は守った方が良い。