ポート(東京・新宿)は6月3日、宮崎県日南市と、同市内の無医地区における遠隔診療の有効性に関する実証事業を行っていくと発表した。同日、同市で調印式が行われた。地方は、医師・看護師の不足、医療費の削減など医療関係で様々な課題に直面している。ITによる遠隔医療で、解決の糸口を探る。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

本日行われた調印式で遠隔医療について話すポートの春日社長

日南市で開かれた調印式で、遠隔医療について話すポートの春日社長

2015年8月10日、厚生労働省が発表した文書「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」では、遠隔診療に関する解釈が改めて明文化された。医師不足を解決する可能性がある遠隔診療への期待が高まるなか、同社は2015年11月、国内初の取り組みとして、遠隔診療プラットフォームサービス「ポートメディカル」を開始した。

今回、対象の区域となる宮崎県日南市北郷地区は、厚生労働省から「無医地区」として認定されている。日南市立中部病院では、医師を地域へ派遣し、診療を行う「巡回診療」を行ってきたが、定期的な派遣は医師をはじめとした医療従事者の不足を招き、医療機関側にとって、大きな負担となっていた。

今後、高齢化・過疎化が加速していく中山間部では、将来にわたり提供できる医療サービスの確保は重大な課題となっている。遠隔診療を試験的に導入し、サービスの質や利便性などの有効性を検証する。

日南市は、2016年6月中旬以降より市立中央病院内で遠隔診療を実施し、ポートは遠隔診療におけるプラットフォームシステムの提供や適正推進に向けたオペレーション体制の構築支援を行う。

2014年の厚生労働省の調査では、無医地区は全国に637地区あるとされている。ポートの春日博文代表取締役社長は、「日南市のみに限らず、日本社会の今後の医療を考える非常に重要な実証事業になると考えている」と話す。

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