NPO大学では、毎月若手NPOの代表をゲストに招き、活動内容についてお話してもらっています。話を聞いた受講生は、各自が「おもしろい!」と思った内容を600文字ほどで記事化します。今回は、ゲストにNPO法人アニマルライツセンター代表の岡田千尋さんを招き、「動物愛護」と題して講義してもらった内容を、久保田紗佑歌さんの視点で振り返ります。

「動物には表情があり、性格がある」――。そう語るのはNPO法人アニマルライツセンター代表理事の岡田千尋さんだ。同団体では、「Animal Rights」(動物の権利)の考えを元にしながらも、「Animal Welfare」(アニマルウェルフェア:以下動物福祉)に対する知識の普及や実践、そして飼育基準や飼育方法の改善を企業や国に求める運動をしている。(久保田 紗佑歌)

彼女は高校時代新聞部に所属しており「ペットと人間」について記事を書くため、保健所を取材した。その際、動物たちが生活している環境や状況に問題意識を感じたことがこの活動にかかわったきっかけだ。

同団体の活動の基準に掲げる動物福祉とは何か。これは、動物の適正な扱い方を定義した基本原則で、下記の画像の通り。

1965年英国で提唱されて以来、世界中で採用されている考え方

1965年英国で提唱されて以来、世界中で採用されている考え方

つまり、人が動物を管理または利用する前提で定められている。

思いやりをもって、動物たちと接していますか?

思いやりをもって、動物たちと接していますか?

日本は欧米諸国と比べ動物福祉に対する理解が浅く、実践が遅れている現状がある。岡田さんはミンクの例を紹介した。ミンクにおいては、2016年同団体は、日本における最後の毛皮工場が廃止されたことを発表した。

工場での飼育状況はすさまじいものだった。動物たちは狭いケージの中に閉じ込められているため、ストレスが掛かる。お互いを傷つけ、共食いをし、傷ついたとしても治療されないままであることも少なくない。

最後に残った毛皮工場のミンクは、まともに水さえ与えられていなかった。このように必ずしも倫理的な毛皮というものは存在しなく、福祉的であるとは限らない。こういった状況が日本で明るみにでない背景に産業における動物虐待に寛容な態度であること、法律で動物に関する規則がしっかりと定められず、企業や団体の取り組みの多くが自主規制になっていることも影響している。

こちらの動画を見てほしい。

生まれたときから「バタリケージ」という檻で育てられた小春。本来であれば、殺処分されてしまうところを保護され、里親のもとで残りの余生を過ごすことになったニワトリである。

養鶏場では、1羽あたりIPad 1枚分の範囲でしか動くことができない。もちろんこうした環境下で育てられたニワトリの副産物、鶏肉や卵、そしてその加工食品はスーパーや店頭に並んでいる。

私たちが見ている動物は、幸せだろうか。そして、その動物たちの恩恵を受けている私たちは、健康だろうか。

同団体はこれからも「動物と人間がいかに共存していくか」ということを、市民1人ひとりに浸透させていくことを目標に掲げる。

中国や韓国、台湾などは東アジア共同で「Fur Free ASIA(ファーフリーアジア)」という動物の毛皮を用いることに対し反対を表明するキャンペーンを実施した。#FURFREEASIAのハッシュタグをつけて、FacebookやTwitter、Instagramで毛皮反対を訴えることができる。このキャンペーンは2016年12月末まで行われていた。

特定非営利活動法人アニマルライツセンター公式サイト

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執筆者:久保田紗佑歌
東京都品川区生まれ・育ちの久保田紗佑歌と申します。よく『シティーだね!』と言われます。水泳やそろばん、テニス、油絵や放送など過去にしてきました。現在は月1で美味しい料理を食べる食文化サークルに所属して癒されています。また大学に進学してから、非営利活動・ボランティアと関わりを持ち始めました。どのような方が参加されるのか、楽しみです。よろしくお願いいたします。

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