近年、男女共同参画社会基本法などにより、女性が働くことに対する社会全体の意識が大きく変わり、女性の社会進出が進んでいます。「起業女子」なる言葉もあるように、自分で会社を立ち上げ、社会進出する女性も増えてきました。しかしその一方で、地方の集落などでは未だ女性が公共の場で意見を述べたり、積極的に活動したりすることがなかなか難しい地域があるのも事実です。宮城県南三陸町を拠点に「女性の社会進出」を目指して活動するNPOを紹介します。(JAMMIN=山本 めぐみ)

■女性の活躍が、地域を盛り上げる

NPO法人Women’s Eye(ウィメンズアイ、宮城)は、2013年の設立以降、三陸沿岸地域の女性支援の活動を続けています。

2013年から継続している刺し子サークルの様子。趣味や課題など共通のテーマで参加者が集う小さなコミュニティづくりをすすめている

「地方に暮らしていると、地元の良さに気づくきっかけが少なく、進学や就職を理由に地元を離れていく人たちが少なくない。女性が地域や社会とつながるきっかけを作り、元気に活躍できる場を増やしていけば、地元の人たちの間で新たな出会いを生み、地域の良さを再発見できる」

Women’s Eye事務局長の栗林さん

そう話すのは、Women’s Eye事務局長の栗林美知子(くりばやし・みちこ)さん(38)。Women’s Eyeは、宮城県南三陸町を拠点に、これまでに子育てや地域課題について考える講座や、スキルを身につけるワークショップなど、主に女性を対象にしたイベントを多数開催してきました。

パンのスキルアップ教室の様子。ここからパン作りのグループが生まれ、南三陸町にパン・菓子工房を設立するというプロジェクトへ発展した

昨年にはクラウドファンディングで寄付を募り、南三陸町に製パン・製菓の共同工房「パン・菓子工房oui(ウィ)」をオープン。地域の女性たちが学びながら地元の食材を使った天然酵母のパンを焼き、販売しています。

■「女性はもっと活躍しても良い」よそ者だからこそ伝えられる価値観

Women’s Eyeを立ち上げたのは、2011年の東日本大震災の後、ボランティアで、東北の三陸沿岸地域を訪れた女性たち。復興の過程で、避難所や自治会、公の場で女性が意見を求められることが圧倒的に少なく、女性の声が届かない状況を目の当たりにしました。

南三陸町にオープンした「パン・菓子工房oui」では、パン作りを仕事にしたい地域の女性たちと、地元の旬の食材を使った天然酵母パンの製造販売をしている

「活動的に見える人はいても、それはほんの一部。多くの女性は目立たないように過ごしていた。それでも一人ひとり接してみると、みんな『こんなことがやりたい』という夢があったり、暮らしをとりまく『こういうことが気になる』という素晴らしい視点を持っていたり、手先が器用だったり、それぞれに得意なことがあった。そんな女性の能力やスキルを、そのままにしておくのはもったいない。女性がもっと活躍できて、声を内外に届けられたら、地域に新しい賑わいが生まれるはずだと感じた」。団体設立のきっかけを、栗林さんはそう振り返ります。

次世代を担う女性リーダーを育てるプロジェクト「グラスルーツ・アカデミー」。この夏に開催された研修には宮城、岩手、福島から参加者19名が参加した

団体設立から4年。「私たちは、地域の人たちにとって良い意味で『よそ者』。よそ者であるからこそ、しがらみを気にせずに地域の人たちを巻き込んでいけるし、『女性はもっと活躍してもいいんだよ』ということを伝えていける」。栗林さんは、現在の活動についてそう話します。

■「マルシェ」開催で地域の新たな価値を発信

Women’s Eyeは、2015年より、春・秋の年2回、活動の拠点である宮城県南三陸町にて「ひころマルシェ」を開催しています。

2017年初夏に開催した「ひころマルシェ」の様子。約40の出店があり、1,000人を超える参加者が訪れた

「この土地で続く暮らし」をコンセプトに、地元のめぐみを生かした野菜や果物、天然素材や循環型商品を販売するほか、体験型ワークショップや展示などを通じて、地元の人たちに地域の魅力を再発見してもらいたい──。そんな思いから始まった「ひころマルシェ」は、この秋で5回目の開催を迎えます。

2017年夏からは、音楽ライブが楽しめる『HicoROCK』も始まり、竹のステージの音楽ライブがマルシェを盛り上げた。「ひころマルシェ」2017年秋の開催は、10月8日(日)、南三陸町入谷「ひころの里」野外会場で

マルシェへの思いを、栗林さんは次のように語ります。

「外部の私たちには、この地域の良さがたくさん見えてきた。けれど、内部の人たちは、なかなか自分が生まれ育った地域の価値を感じにくい。マルシェを通じて自分たち住む地域の魅力を再発見してもらい、仲間を集め、もっと暮らしやすい場所にしていけたら」

■南三陸を盛り上げる!マルシェを応援できるチャリティーキャンペーン

チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」(京都)は、Women’s Eyeと1週間限定でキャンペーンを実施し、オリジナルデザインのチャリティーアイテムを販売します。

集まったチャリティーは、「ひころマルシェ」で使用する南三陸の竹を使ったテント製作のための資金になります。

「JAMMIN×Women’s Eye」1週間限定のチャリティーデザイン(ベーシックTシャツのカラーは全8色。他にVネックTシャツやノースリーブ・パーカーなどあり。写真はAラインTシャツ)

JAMMINがデザインしたTシャツに描かれているのは、お鍋やめん棒、様々な食材。それぞれが自分の得意なことや好きなものを持ち寄って、ワクワク楽しく、みんなで一つのことを作り上げる。そんなWomen’s Eyeの活動を表現しました。

Tシャツ1枚につき700円が、Women’s Eyeへチャリティーされます。販売期間は、9月11日〜9月17日までの1週間。JAMMINホームページ(https://jammin.co.jp)から購入できます。

JAMMINの特集ページでは、三陸沿岸地域を盛り上げるため、女性の活躍を目指すWomen’s Eyeの活動について、より詳しいインタビューを掲載中!
あわせてチェックしてみてください。

「女性の目線」で地域おこし。女性が自分らしく活躍できれば、地域は誰もがもっと住み良い場所に〜NPO法人Women’s Eye

山本 めぐみ(JAMMIN):
京都発チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」専属ライター。JAMMINは「チャリティーをもっと身近に!」をテーマに、毎週NPO/NGOとコラボしたデザインTシャツを作って販売し、売り上げの一部をコラボ先団体へとチャリティーしています。

【JAMMIN】
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