2014年に設立した一般社団法人防災ガールは、「脱・ダサい防災」を掲げ、オシャレな防災グッズを開発する。ボランティアは120名以上おり、「防災」のGoogle検索ランキングでは5位に入ることもあった。防災への意識を変えるため順調に成長を遂げているが、設立当初は「人命が関わる防災で稼ぐな」と批判を受けたという。(中山 裕太=中央大学経済学部3年/山﨑ゼミ、小林 咲月=慶応義塾大学法学部3年、藤川 幸子)

防災ガール代表の田中美咲さん

防災ガールには多彩なメンバーが所属する。120人中半数以上が大学生で、残りは民間企業やNPO、行政などで働く社会人だ。

行政や企業と連携し、若者向けの防災グッズを企画してきた。団体を設立して4年だが、2016年10月には、Googleの検索エンジンで「防災」と検索すると平均5位の位置を獲得するなど、その存在感は急上昇中だ。

防災ガールは、これからの日本の防災をどう変えていくのか。

■「人命にかかわりたい」 311が転機

防災ガールを立ち上げたのは、現在29歳の田中美咲さんだ。新卒でIT大手のサイバーエージェントに入社し、ソーシャルゲームのプロデューサーとして活躍した。入社して1年が過ぎた2012年夏に同社を辞めたが、キャリアの転機は東日本大震災にあるという。

震災発生時、田中さんは学生であった。災害現場をボランティアで訪れたことで、人命が関わる現場で働くことの意義を感じたという。

ソーシャルゲームの企画・運営へのやりがいよりも、震災被害に遭った方が忘れられず、同社を退職後は、復興支援活動を行う公益社団法人助けあいジャパンに転職した。拠点も東京から福島に移住した。

同団体の福島事業責任者として働く中、ある課題に思い至った。「復興支援が行われる一方で、新たな災害がまた被災者を生み出していく。同じ事を繰り返さないために、防災意識自体の浸透が必要だ」この思いを胸に、田中さんは防災ガールを設立した。

■「防災で稼ぐな」

防災ガールにとって最初の壁は、「防災で稼ぐこと」だった。これまで防災業界では、人命が関わる防災は公益的な意味合いが強く、1団体がビジネスとして利益を追求することはあまり受け入れられてこなかった。

しかし、後ろ指を指されながらも若者向けの防災グッズの開発や防災意識を啓蒙するイベントなどを企画してきた。

防災ガールが行ったアンケートでは、若者が防災対策をしていない理由として、「楽しくない。ダサい。めんどくさい」という声が多かった。テクノロジーの発展でライフスタイルも変わっている。田中さんは「時代に合わせて取り組み方を考えていくことが大切」と強調した。

■災害時に機能発揮するミサンガ

これまでに開発した防災グッズの一つに、「#beORANGEパラコードミサンガ」がある。これは、日本財団と取り組んだ津波防災の普及啓発プロジェクトの一環で企画したものだ。

311の津波によって海に対して恐怖心を抱かれがちだ。防波堤を建設することで、津波被害を防ごうという動きもあるが、同プロジェクトでは「海との向き合い方」を啓蒙し、「海とともに生きる未来」をつくりだすことを目指した。

視認性が高いオレンジの旗が避難先の目印

海に映えるオレンジカラーのフラッグを津波避難ビルやタワーに掲げたり、フラッグを活用した避難訓練を実施してきた。

このミサンガは、通常のミサンガと同様に腕に巻くが、平常時から身に付けることで非常時にその機能を発揮する。
 
ミサンガの糸は、耐久性と強度に優れた「パラシュートコード」でできており、非常時にほどくことで、止血帯や着火材、笛、靴ひもなどに使うことができる。価格は1,512円(税込、送料別)とお手頃で人気商品だ。

#beORANGEパラコードミサンガ

災害ボランティア用ブーツも注目だ。災害現場は、がれきやガラスの破片などが散乱している場合が多く、ボランティア自身が足元の安全を確保する必要がある。近年の災害ボランティア需要の増加に伴い必要性が増してきた。

防災ガールは、消防関係者が使用している安全性の高いブーツの機能をベースに作成した。通常、こういったブーツの色は「黒」がメインだが、普段使いを考えたら黒はオシャレとは言い難い。

色はネイビー、オレンジ、ブラック、コーラルピンクの4色にし、ショートブーツとロングブーツの2種類を揃えた。価格はショートブーツが11,500円(税込)、ロングブーツが12,000円(税込)。普段使いと防災での利用を考えれば決して高い価格ではないだろう。

災害用ボランティアブーツ

日本は、地震だけでなく、津波、大雨、雪害、落雷などに見舞われる災害大国だ。いつ災害が起きてもおかしくない状況だからこそ、事前の準備が大切なことは言うまでもない。

まずは、身近な自分の家から、倒れてくるものがないか、非常食は用意しているか、や電気が止まっても大丈夫か、ぜひこの機会に見直してほしいあなたの防災レベルはどのくらいだろうか?

*この記事は日本財団CANPANプロジェクトとオルタナSが開いた「NPO大学第2期」の参加者が作成しました。

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