上智大学は11月2日から4日、「ソフィア祭」を開く。毎年4万人が訪れるため、大量のゴミが出る。実は同大学では、学園祭期間に出たゴミは学生で処理している。ライブステージやミス・ミスターコンテストなどを運営する花形部門ではないが学園祭を持続可能にする「ゴミ処理係り」の仕事とは。(オルタナS編集長=池田 真隆)
ソフィア祭のゴミ処理を担当するのは、総勢200人いる「ソフィア祭実行委員会」のメンバー。来場者やブースを出展している団体には、可燃や不燃、ペットボトルなど10分別で、ゴミを捨ててもらうように促している。
回収したゴミ袋は「パワーステーション」と呼ばれる場所で、同委員会のメンバーがさらに手作業で細かく分別していく。例えば、割りばしは洗浄してリサイクルし、紙パックの飲み物にストローが入っている場合は取り出す。
期間中は開園から閉園まで、10人単位で入れ替わりこのゴミ処理作業を行う。夕方過ぎに閉園となるが、この作業が終わるのは3~4時間後だ。
実行員会の装飾エコ局長を務める櫛田紗彩華さん(上智大学総合グローバル学部2年)は、「生ごみを手で触ることには抵抗があったが、きれいに片付いていくと、やって良かったと思えてくる。本祭中は、警備やその他の仕事で私語はできないが、パワーステーションは来場者に見られないため、みんなで励まし合いながら作業できるところが楽しい。絆が生まれる」とやりがいを話す。
■植林でカーボンオフセットも
ソフィア祭がエコに取り組み出したのは2000年から。企業や団体とも協力して、学生の環境意識を向上させる「エコ企画」を実施している。今年は、ゴミ分別以外にも、廃油回収やキャンドルナイト企画などを展開。
模擬店から出た廃油は実行委員が回収し、工場でリサイクルしてもらう。キャンドルナイト企画は、前夜祭で紙パックにLEDライトを入れたキャンドルを並べる。
本祭期間中には、同大学のマスコットキャラクターのソフィアンくんが植林募金を集めている。この募金で苗木を購入し、同大学の秦野キャンパスで植林する。学園祭で出るCO2の相殺を目指す取り組みだ。
本祭の期間だけでなく、夏には都内の打ち水イベントに実行委員会が参加。ミス・ミスターコンテストの候補者も参加し、イベントを盛り上げる。
来場者への環境意識を高めていくために、装飾にもこだわる。大学で捨てられたレシートを集めた巨大アートや特設ゴミ箱の看板などを設置する。この作業は、実行委員会の装飾・エコ局が担当。学園祭のすべての装飾物の製作を手掛けるため、夏前から活動を始めている。
今年の学園祭は、花形であるライブステージやミス・ミスターコンテストだけでなく、学園祭を持続可能にするエコな仕組みにも注目してみてはいかがだろうか。
実行員会の装飾エコ局 パブリシティの高田里奈さん(上智大学総合グローバル学部2年)は、「学園祭はあって当然と思われているが、必ずしも毎年できるとは限らない」とし、「大学や企業、出展する団体などと連絡を取り合い、責任感を持って対応することが実行委員会には求められているだけに、無事に終わった後の達成感は言葉にできないほど大きい」と話した。
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