東日本大震災から7年、熊本地震から2年を迎えるにあたり、障がい者約300人を対象に「防災に関するアンケート調査」が実施された。震災時には迅速な避難が求められ、場合によっては避難所での長期間にわたる生活が必要になる。しかし、障がい者にとっては、 こうした避難や避難所での生活が大きな課題になることも少なくない。今回の調査でも、過半数が避難時や避難所での生活において「障がいによる支障があると思う」と回答した。(オルタナS編集長=池田 真隆)

避難する際に支障があると答えたのは55%

この調査を行ったのは、障がい者の就労支援などのソーシャルビジネスを展開するゼネラルパートナーズ(東京・中央)の調査・研究機関「障がい者総合研究所」。来る震災に備え、障がい者がどのような不安を感じ、どのような対策や支援を求めているのかを調査した。対象は、20~60代の身体・精神・知的障がい者271人。

「避難する際に、障がいによる支障はあるか」という問いには、55%があると回答した。また、「避難所で生活する際に、障がいによる支障はあるか」という問いには64%があると答えた。

■障がい者が有事の際に求めていることは?

4割が災害時に支援してほしいことがあると回答

災害時に自治体や周囲に支援してほしいことがあると回答した人は40%であった。具体的には、聴覚障がいや視覚障がいの人は情報保障、上下肢障がいの人は避難誘導の支援、内部障がいの人は病状に応じた対応などを求めている。精神障がい者は、避難所などで大勢の人と生活することの困難さへの理解や、パニック時の対応など心のケアを求める声があった。また、障がいの種別を問わず、薬の調達への要望が見られた。具体的には下記。

・避難所までの手引き、避難所内部の様子を教えてほしい。紙などで情報が配布された場合の代読をお願いしたい(男性/30代/視覚障がい)
・薬がなくなった場合の病院・調剤薬局への優先権がほしいです(女性/40代/心臓機能障がい)
・薬の手配や調達の手助けをしてほしいのと、大勢の人の中には居ることができないことを理解してもらいたい(男性/50代/うつ)
・災害時はパニックになってしまうので、恐怖や不安を感じやすいということを分かってほしい(女性/30代/統合失調症)
・ケースワーカーや民生委員による声掛けを日頃から行ってほしい。それにより、地域の関係者と日頃から人間関係を築ける(男性/30代/発達障がい)

こうした声を受け、同調査を実施した障がい者総合研究所 所長の中山伸大さんは、「個人が取り組める対策には限界がある。大震災に対する不安や困り事に対して、周囲が取り組めることを障がい者と共に考え、災害に備えることが必要」と述べた。

■ゼネラルパートナーズ社が行った防災に関する調査の結果はこちら


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