「紙は発見、ウェブは検索、役割の違いを意識して、うまく連携させた」――こう言い切るのは、女性向けのフリーペーパー「Moteco(モテコ)」を発行するモテコ出版の松本明徳社長。ネットの普及が進み、広告掲載料が収入源のフリーペーパーは、各地で休刊や廃刊が相次いでいる。そんな中、モテコでは地域に密着しながら、発行部数を維持し続ける。どう連携させたのか、その仕組みを聞いた。(武蔵大学松本ゼミ支局=鹿間 はづき・武蔵大学メディア社会学科3年)

群馬県に本社があるモテコ出版の松本明徳社長、従業員数は43人、地元採用にこだわり、そのほとんどが地元出身

「Moteco(モテコ)」は毎月最終金曜日に発行し、現在、群馬・栃木・埼玉・長野の4県7地域で配布されている。2003年に発行し、飲食店、美容室、ブライダル、アミューズメント、住まいなどの地域情報に加えて、割引クーポンも掲載してるので、地域住民の愛読書となっている。部数は約100万部(2016年4月)。

出版事業が衰退するなか、どのようにして生き残ってきたのか。松本社長は、「紙とウェブサイトは連動するものである」と話す。同社は、「モテコ.net」というグルメサイトも運営している。松本社長は、「消費者がモノを買うとき、まず発見からスタートし、必ず最後にサーチが入ります」と話す。

つまり、紙は発見のメディア、インターネットは検索のメディアの役割を果たすという。モテコ出版では、フリーペーパー「Moteco」で発見を促し、グルメサイト「モテコ.net」が検索の受け皿として機能しているのだ。「紙媒体とウェブサイトは、どのように情報を届けるかの違いです」と松本社長は言い切る。

例えば、ラーメン屋は、細かい情報が無くても商品の想像ができ、かつ、すぐに体験ができやすい。このようなものに関しては、紙媒体で十分に情報を伝えることができるという。

しかし、記念日に行くような高級料理店に関しては、コースや値段が想像しにくい。気軽に見に行ったり、体験したりすることが難しい。そのようなお店は、消費者に細かく情報を提示する必要がある。松本さんは、「お店の中が想像しにくいもの、あるいは誰もが簡単に体験していないものは、情報量が求められているからウェブサイトが効果的。情報を紙媒体で詰め込もうとすると、何ページも使うことになってしまいます」と語る。

ラックに置かれる『Moteco』2019年6月号

「フリーペーパーに関してだと、編集が入るということがインターネットとの違いです。出しっぱなしの情報がインターネット上には多くあるなか、地域のひとが本当に欲しがっている有益な情報を、地域のメンバーが発見して、伝えていくことが大切になります」と松本さんは語る。

地域密着の広告会社になることで良い未来につながると話し、「時代やトレンドにあったベストな広報活動のお手伝いしていくことが僕らの使命だと思っています」と強調した。



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