).push({});
” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” class=””]現場を経験した彼女たちだからこそ書ける生々しい現実が切々と投げ掛けられた。ネタを与える立場であるという優位性を武器に、女性記者たちにセクハラを繰り返す男性たち。
しかもときにはネタ元だけじゃなく、味方であるはずの上司や同僚までもが加害者になることも多いという。その深刻さは、「回答者のほとんどがセクハラ被害に遭い、1割弱が性行為を強要される」というメディア業界内のセクハラ被害についてのアンケート結果(「性暴力と報道対話の会」)を見ても明らかだろう。
しかも本書にまとめられているメディア各社へのアンケートによれば、セクハラ被害者が相談しづらい、適切な対応がされないという環境が依然として色濃く残っているというのだ。それは男性にとってもおかしな世界には違いない。
作家の星野智之氏は、新聞記者として社会人生活をスタートした。しかし、セクハラが横行する環境に馴染めずに、結局その新聞社を辞めたという。星野氏は自身のブログで、こう述べている。
「『マスコミ・セクハラ白書』を、被害を受けた当の女性たちに語らしめている大きな動機に、その被害をなかったことのようにして黙って流してきてしまった、そのために温存に加担してしまったという罪の意識がある(ブログ「言ってしまえばよかったのに日記」から抜粋)
本書の執筆者の一人である元ライターの池田鮎美氏は語る。「他業界のセクハラが表面化したとき、メディアはこぞってそれを取り上げるのに、自分たちを取り巻くセクハラには目を向けずになかったことにする」。
果たして「なかったことにしている」のはメディアだけだろうか。彼女たちは勇気を出して声を発した。次にその声を生かせるのかどうかは、「なかったことにしている」わたしたち一人ひとりにかかっている。
[showwhatsnew]