今年のゴールデンウィークは「花で帰省しよう」――新型コロナウイルスの影響で帰省できない代わりに花を届けようと10店舗以上の花屋が集まり呼びかけている。長期化するコロナ禍で花の出荷量が激減、売れ残った花が廃棄される「フラワーロス」の解消につなげたい考えだ。(オルタナS編集長=池田 真隆)

with Flowers Projectの思い

「花を通じて、日々をほんの少し豊かにできたら」――フラワーアーティストの前田有紀さんもこの呼びかけの賛同者だ。前田さんはテレビ朝日アナウンサーを経て、35歳でフラワーアーティストとして独立。いまはオリジナルフラワーブランド「gui」を展開している。

フラワーアーティストの前田さん

前田さんは花が暮らしにもたらす効果について、花をもらった人だけでなく、花を贈った人も、「あたたかで豊かな時間」を体感できると強調した。

これは「with Flowers Project」と呼ばれる運動で、都内など10店舗以上の花屋が賛同している。特設サイトでは、オンラインで花を注文・郵送できる花屋を公開した。現在は障がい者雇用を行う花屋「ローランズ」など14店舗が掲載されている。

花を贈った人やもらった人には「#花で帰省しよう」というハッシュタグを付けたSNSでの投稿を求めている

25歳以上で長期休暇に帰省する人数は2414万9000人(総務省「社会生活基本調査」調べ)に及ぶ。25歳以上の4人に1人に該当し、都内に限るとその割合は3人に1人だ。

帰省したくてもできない人に向けて、「花で帰省しよう」と呼びかけた。長期化するコロナ禍で花の買い手がつかず出荷量は減っている。切り花1本当たりの相場価格は毎年の平均価格と比べて大幅に低迷。売れ残った花を廃棄する「フラワーロス」が問題になっていた。

花の価格破綻によって、売れ残った花が 日々大量に廃棄されている

このプロジェクトの発起人は花業界の活性化に向けたイベント企画を行うSTARMINE PLANNING(東京・渋谷)の長井ジュン社長。花農家から現状を聞き、何かできないかと考え、知り合いのクリエイターに声をかけた。

発起人を務めるSTARMINE PLANNINGの長井社長

これは花業界による「ソーシャルアクション」と銘打ち、共感したプロジェクトメンバー全員が無償で協力した。「花で帰省しよう」というコンセプトが決まってからわずか4日で仕上げた。

長井社長は、「花屋さんや花農家さんがいないとぼくらの仕事は成り立たない。花を贈るだけでなく、花をきっかけにテレビ電話などで話してもらえれば」と述べる。特設サイトでは参加店舗の募集も行っている。掲載料・販売手数料は掛からない。

「#花で帰省しよう」の特設サイト

【こちらもおすすめ】
花嫁は白い車椅子に乗って バリアフリーウエディング
「世界一の花屋へ」青山フラワーマーケット代表
ソーシャルフラワーショップ、障がい者の受け皿へ


【編集部おすすめの最新ニュースやイベント情報などをLINEでお届け!】
友だち追加