他のそれとは一線を画す意味を込めて、「新・ご当地グルメ」と名付けた。これらは「地産地消」を大前提に、長期定着させるための厳格なルールを設けて企画・開発されている。中田氏は、「地産地消」に込めた思いをこう語る。

「地域を訪れた人にふるまわれるご当地グルメは、『おもてなし』でなければならないと思っています。地場産の食材を使った料理には、必ず地域の特色が出るもの。であれば、そんな『地域らしさ』の詰まった料理を食べてもらうことこそが、『おもてなし』なのではないかと。どの地域にも、その土地ならではの食材は必ずあります。それらを使って、従来なかった新しい食べ方や味を追求し、観光客をおもてなすのが新・ご当地グルメなのです」

「新・ご当地グルメ」の歴史が始まったのは、2005年7月。北海道美瑛町で生まれた「美瑛カレーうどん」が第1号だった。提供する際は、美瑛産の小麦粉を使ったうどん麺と、美瑛産豚のしゃぶしゃぶ肉、美瑛産野菜の使用を必須とし(※ただし野菜のみ、収穫が厳しい場合は他産地の使用可)、地元の「びえい牛乳」をセットでつけること。さらに、提供価格は1000円以下。提供店舗への厳格なルールを設定したこのグルメは、一躍、観光の目玉となり、8年経った今も、その人気は衰えずにいる。

「細かなルールを設け、地域の飲食店の方々の理解を得ながら開発・提供していくのは、とても大変なこと。しかし、厳しいルールがあるからこそ、そのグルメは、他が真似できないご当地の名物になります。新たに開発したご当地グルメを、一時の話題で終わらせるのではなく、その地域の産業をも活性化する存在にしたい。その気持ちから、一つひとつのグルメにこのようなルールを設けているんです」(ヒロ中田氏)

新・ご当地グルメを作ることで、観光業や飲食業はもちろん、生産者や加工者などの産業まで、三位一体の地域振興を目標とする中田氏。新・ご当地グルメの特徴である厳格なルールは、地域活性化に対する熱意の表れといっていい。

食はいつの時代もなくならない

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