中田氏が、地域活性化にこれほどの情熱を注ぐようになったのは、今から17年前。東京や大阪の都市圏で働いていた彼が、『北海道じゃらん』(リクルート北海道じゃらん発行)の編集長として、北海道に移り住んだことが大きな転機となった。

「それまで求人誌や海外旅行誌の編集をしていた私は、『自分のために仕事をしている』認識でした。でも、北海道に来てからは、『この地域のために仕事をしたい』と考えるようになったのですね。その思いは次第に強くなり、いつしか北海道の枠を超えて、地方全体を活気づけたいと思うようになりました。東京への一極集中が進む日本で、少しでも地方を元気にしたい。それこそが、『自分にしかできない仕事』だと感じたのです」(同)

地方を元気づけるためには、旅行客への呼び水を作って交流人口を増やし、産業を振興させなければいけない。そう考えた中田氏が目をつけたのが、食だった。

「食は、いつの時代もなくなりません。そして、開発費用や在庫リスクも高くありません。これは重要です。地域のヒット商品を考える上で大切なのは、その商品を長期で定着させられるか、ということ。流行に影響されないもの、ランニングコストが低いものが理想なのです。その意味で、食を超えるものはありませんでした。ロングセラーを生みやすくて、しかも地域の色が出やすい。私は、全国すべての市町村が、新・ご当地グルメを持てばいいとさえ思っています」(同)

一時的な流行ではなく、地域に根付いた食文化に

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