以前までは、ダイバーシティを担当する社員はほかの部と兼務であったが、2012年度以降はリクルートホールディングス人事にダイバーシティ推進部を新設した。専属社員4人を配置し、各社にダイバーシティ担当組織の設置も義務化している。
2015年4月までに、グループ全体で女性執行役員比率10%以上という目標設定と、女性管理職比率の公開も実施した。専任部署に数値目標を設定したことですぐに効果が表れた。2012年度の役員比率は6.3%であったが、2013年4月には、9.4%に上がった。
しかし、前述の二葉氏は楽観視はしていない。「グループの女性社員比率は37%、そのうち管理職比率は17.5%。男性と比べて昇進比率は低い。採用基準は同じなので、この差は改善すべき組織の課題です。そもそも私たちの提供するサービスは男性に向けたものだけではありません。女性ユーザーにとっての使いやすさを追求するという観点からも、経営の意思決定層である役員のポジションに女性が入り、女性の視点が反映できる組織体制を構築する事が重要です」と期待する。
ダイバーシティは総論では認めてくれるが、各論では理解が得られづらい事がある。ダイバーシティに取り組む理由を定量化し各社で課題を明確にするため、従業員へダイバーシティに関する43項目から成るアンケートを行った。
アンケートをもとにした相関分析からは、男性社員と女性社員の役職に対する考え方の違いも明らかになった。二葉氏は、「男性社員は成長の証として役職を求める傾向にありましたが、女性社員は、何か達成したいものがあって、その手段として、役職を求める傾向にありました。なので、男性の上司から、本人の成長を基準に『マネージャーになっては?』と提示されても、受け入れがたく感じる女性社員は多いのです。例えば『あなたのやりたい事を実現するにはマネージャー職という選択肢もある』というアプローチに変える事で女性社員ももっと役職を受け入れやすくなるかもしれません。いずれにせよ男女でキャリアに対する考え方が違うという事を認識し、コミュニケーションの方法を考える必要があるのではないでしょうか」と話す。
■5年目社員に対するキャリアイメージの醸成