Skypeで取材を受ける為末選手


——オリンピックなど大きな大会でも恐怖心と向き合えるのですか。

為末:2000年のシドニーオリンピックのときは過緊張になってしまい転倒してしまいました。あの時は怖さで我を失ってしまい、何が起きたのかわからない状態でした。

翌年のエドモントンで開催された世界陸上では銅メダルを獲得できたのですが、その時も「こんな(メダルを獲得できる)チャンスはもう人生にないかもしれない。だからこそ、ここで失敗したら一生後悔するだろうな」という怖さと、「もうここまできたらやるしかない」と腹が決まっている自分とのせめぎ合いが、ピストルが鳴る瞬間まで続いていました。

最後の最後で「もう行くしかない」という気持ちになって、その怖さを思い切り振り切りました。良いレースのときは毎回そのような思い切りができるのですが、20年以上の選手生活の中でもこれができたのは、まだあまり多くありません。ただ、そうしようと意識しながら、毎日のトレーニングを積んでいます。

■自信を持てたのは、世界大会でメダルを獲得したからではない

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