「人生はLIFEだよ」
もう何度もその意味を自分の中で反芻してきたのだろう、ノリエルは確信を持って語ってくれた。
「 LIFEのLはlove(愛)。愛があるから僕たちは生きている。お父さんとお母さんが愛し合って僕らが生まれて、世界は紛れもなく愛で構成されているでしょう。だから人生は愛なんだよ」
「 LIFEのIはintelligence(知性)だね。なんで研究者が生きることに従事しているか、それは彼らが発見することを追い求めているからだよ。知性は僕らに知恵を与えて、生きる術を伝授する。どういう風にこの地域で生活を得るのか、その方法が分からなければ生きていく事はできない。だから人生は知性なんだ」
「LIFEのFはfear(恐怖)だ。人間は様々なものを恐れながら生きている。独りになることを恐れ、自分が他人に受け入れられないことを恐れ、またそんな自分の内側に存在する自分自身を恐れている。でもこれは弱さではない。自分を知ることで人は強くなれるものだから、恐怖は生きる上で重要な意識なんだよ。だから人生は恐怖なんだ」
「LIFEのEはencouragement(励まし)。時々人は自分の存在を無力で価値の無いものだと感じるけれど、君が生きていることが周りの人間の励ましになっているんだ。そして君自身も誰かの人生に励まされながら生きている。僕は自分の周りに生命が溢れていることをとても幸せなことだと感じてる。だから人生は励ましなんだ」
話し終えたノリエルは、穏やかな声でこう忠告した。
「この4つを忘れちゃダメなんだ。この4つを見失ったら、人はなぜ人生が存在するのかを見失ってしまう。だからいつも心に留めて、思い続けていかなきゃならないんだよ」
これは詩でも哲学でもなく、まだ若干20歳のノリエルが貧困層に生まれ育つ中で手に入れた人生の指針だ。リアルをシェアしてくれた彼の強さに、感謝を述べずにはいられない。