「技術も物も、そこに人の想いや人生が刻み込まれているからこそ、価値がある」と話す山下さんは、今にも失われそうな文化をどうにか次の世代に繋ぎたいと考える。

学生時代に訪れたフィリピンで、エドガーさんと出会った。当時、エドガーさんはボランティアで伝統音楽を披露し、金鉱山で働いていたという。彼はかつてプロの伝統楽器の演奏家であり、演奏する楽器を制作する伝統工芸家でもあった。日本では尊敬されるはずの伝統工芸家も、フィリピンでは生活していけないのが現状だ。お金を稼ぐために、危険な金鉱山で働く人が多く存在する。

エドガーさんが「文化を次に繋ぐために何かをしたい」と思っていることを知り、山下さんは「文化を守りたいと思っている人がいるなら、そのきっかけを作りたい」と思い、一緒に活動していくことを決意。それがユニットduo edayaの誕生であった。

山下さんは「私は伝統を継承できる立場にはない」と話し、「自文化の価値に気付き、現地の人だけで活動していけるようになることが大事」という。

日本で「パリで人気」と言うと話題になるように、フィリピンでは「海外で人気」ということで話題になるケースがあるという。まずは、現地の人に自文化を格好いいと思ってもらうことが狙いだ。

金具はすべて錆びにくい14金ゴールドフィールドを使用している

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