福島県いわき市出身の西丸亮さん(中央大学大学院公共政策研究科・24)は、震災前の2010年からTEAM iups(アイアップス)を設立し、在京の福島出身者へ向けたイベントを開催してきた。
震災時は横浜にいた。「東京に住み、被災を知らない私たちは、形にできない精神的な距離感を感じるようになりました」と話す。「大切なのはわからないと言い切り、知る努力をすることではないでしょうか」。
故郷が被災したが、その悲しみを感じ取れない自分に違和感を感じていたという。「被災者ぶってみてもしっくりこなかった。彼ら(故郷の人たち)に近づこうと思ったが、近づけなかった」と。家族や友人がまだ残っていたので、福島から避難させようとする声にも違和感を感じていたという。
■震災前からの習慣が露呈 市民が市にパチンコ通いの苦情を報告
地方の娯楽施設と言えば、ロードサイドのパチンコ店だ。西丸さんは、「震災前から変わることのない地方の人気娯楽である」と話す。
震災以降は被災者が仕事をせず、パチンコ店に行き来する現状をみて、市民から市に対し苦情が殺到していた時期もあったという。この苦情に対して、「震災前からの文化が悪い形で露呈してしまっただけではないか」と西丸さんは話す。
会津若松で仮設住宅に内職を売るサービスを行っているIEEの谷津拓郎代表は「被災者に対して必要なのは消費活動ではなく、仕事などの生産活動だと思います。消費に加担する生活から、何かを生み出す生産的な生活をすることで、人のため地域のために仕事をし、自立へとつながると考えています」と話す。
■被災者ではなく、友人としてつながってほしい
ボランティアが減少することには、「減ることは地域の自立にとって良いことではないでしょうか。しかし、まだまだボランティアを必要としている地域も沢山あります。なので、継続的に関わり続けることが大切です」と話す。
「ボランティアをする側と被災地の関係」については、関係を保温して欲しいと言う。「更に関係を深めようとせず、希薄にもせず、繋がり続けて欲しいです。『ボランティアの役目が終わったら終わり』ではなく、非日常な関係から、日常的な関係へ。被災者ではなく、友人としてつながって欲しいと思います」。
ボランティアを通して学んだインプットを被災地ではない、別な場所へアウトプットして欲しいと考えている。「またいつどこで大震災が起きるかわかりません。そのために地域とつながることは大切ではないでしょうか。地方の文化やものづくりでつながることでもいいです。地方の食や観光でつながることでも構いません。『地方の日常』からつながりましょう」と話す。
■去年はもう1年、今年はまだ2年