地元の子どもたちと。黄色のシャツを着ているのが矢部さん


志田さんと同じ気仙沼で活動する若者がいる。矢部寛明さん(NPO底上げ代表・29)だ。矢部さんは、内定が決まっていた旅行会社への入社を断り、復興支援活動を続けている。

2012年の4月には大学を卒業し、入社する予定だったが、「一人の人間として、今、動かないでいいのか」と問い続けた結果、入社を延期し、ついには辞退した。

「東北には、ママチャリ旅行をしていたときにお世話になった人たちがいた。当時、泊めてくれたり、助けてくれた人たちが困っているのに、何もしないままでは、自分自身が腐る。このままでは、人生に価値を見出せない。だから、被災地に入ると決めた」と話す。

現在は、若者を対象にした活動を行う。現地の高校生と、全国から集めた大学生で将来のことについて話し合うイベントを主催している。これまで底上げで動員したボランティアの人数は、8000人を超す。

頭でっかちな若者、とにかく東北へ!

移住したが、あえて内部の人間とは思わずに、一歩引いた目で見ていると言う。外部からの立場で、見ていると見えてくるものがあるのだ。

2年経過し、「教員志望の学生にはオススメ」と話す。「子どものエンパワーメントをしているので、ここで学習支援をしてから先生になるのもいいのでは」と。

「スキルや経験もつくが、這い上がろうとしている人たちに触れることで、一人の人間としての強さを学ぶ」。

特に、希望するのは、頭でっかちな人だ。「こっちに来る前に、東北で何ができるのか?と考えてしまう人には、まずは来てから考えてほしい。理屈で説明するよりも、体験したほうが早いし、汗を流すことで、角が取れて丸くなる」と話す。

若者の社会変革を応援

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