「エシカルのルーツは、80年代のブレア首相(当時)の発言より以前にある」と生駒氏は説明する。「60年代のヒッピー文化やフラワーチルドレン文化がルーツにある」と。これらの文化では、「自然に帰る」ことを尊重しており、この考えが、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』や、オーガニックコットンの開拓者であるサリー・フォックスを生んだという。こうした起源を経て、現在のエシカル文化が起きていると話す。
「まだ、主流ではないが、ファッション界にエシカルの波は来ている」と、生駒氏は話す。要因として、以下の3つをあげた。ファッションの本場パリ・ミラノのファッションショーでは、雑誌編集者がメイン席を陣取っていたが、現在はブロガーが中心になり、エコ意識の高い個人の発信力が高まっていること。主役はデザイナーではなく、消費者になったこと。価格競争からクオリティ優先になったこと。
さらに、大量生産・消費の象徴とされているファストファッションブランドが社会貢献を意識してきたことも大きな要因の一つと話す。
ユニクロのファーストリテイリングは、国際NGOグリーンピースと組んで、デトックスキャンペーンを開始した。2020年までに、製造過程で有害化学物質の使用をなくすと宣言した。
H&Mも、2020年に動き出す。「エシカルはシックである」と宣言し、2020年までに全ての商品にフェアトレードコットンを使うことを約束している。
3Dプリンターの登場で、エコでおしゃれな服も作れるようになったと話す。「2000年代はリアルクローズだらけであった。もともと、ファッションは夢を与えるもの。3Dプリンターで作ったクチュールドレスなどは、久々にレディー・ガガも着たいと思うのでは」。
■エシカルと悪魔