地元と人をつなげるには、応急処置的なやり方ではなく、時間をかけて、地元とのつながりを感じるマインドを醸成していく必要があると考えた。そのためには、地元から離れていても、何かしらの形でつながり、かつ、新しい地元友達も作れる方法があれば解決できると想定した。

この構想から誕生したのが、「ファーボ」だ。クラウドファンディングのカテゴリーを「出身地」ごとに分けたので、上京している地方出身者も、故郷のプロジェクトを応援でき、プロジェクト起案者ともつながれる。

今年6月でリリース1周年を迎え、宮崎、新潟、埼玉、熊本、石川、鹿児島、長野、山口の8県で立ち上がっている。宮崎が最も長く、1年間でのプロジェクトの達成総額は、450万円、総支援者数は720人ほどだ。同郷者のプロジェクトだけに、ユーザーのコミット具合は強く、プロジェクトの成功率は約8割を記録している。プロジェクトの出資の見返りに、地方特産品などがもらえることなどが評判になっているという。

ユーザーの年齢は、30~40代の男性が最も高く、宮崎県出身者と他県出身者の割合は半分ずつを占める。「地元を好きな気持ちに気付けないで、出てきてしまった人たちが、気付き始める年代を狙っている」と齊藤さん。プロジェクトの拡散方法は、まず出身者に伝えて、彼ら自身から県外出身者に発信してもらう形式を取る。

来年の6月28日で、リリース2年目となる。それまでに、47の全都道府県にサイトを立ち上げるため、今年から新しい2つのプロジェクトを開始した。「地元法人との共同オーナー制度」と、「行政との連携」だ。

ファーボにしかない強みとは

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