今、注目すべきは、なぜ震災から時間が経過しても、発信力を維持できているのかという点だ。東北へのボランティア数や情報量は減っている。しかし、同サイトのPV数は落ちるどころか上がっている。この謎を解くヒントに、佐藤氏の戦略がある。

佐藤尚之氏

大手広告代理店でコミュニケーションディレクターを務めていた佐藤氏は、「スラムダンク1億冊感謝キャンペーン」「星野仙一優勝感謝新聞広告」など、数々の実績を持つが、「震災の情報を社会に発信する際には、広告の手法は一切使わない」と話す。

「ソーシャルメディアでは発信するが、マスメディアでは流さない。なぜなら消費されてしまうからだ。今回の震災の情報は消費されてはいけない」(佐藤氏)

この言葉通り、震災から2年半が経過した今でも、同サイトの発信力は衰えていない。ソーシャルメディアでは、情報が消費されずに、蓄積されるからだ。「1年目に比べて、2年目はさすがに落ちたが、2年目から3年目は5㌫ほど増えている」と、野田氏は話す。特に、検索やソーシャルメディアからの流入が多いという。

現在、同サイトから発信している内容は大きく分けて4つだ。ボランティア活動を希望する人へ、NPOへの寄付や寄付付き商品、東北ツアーなどの情報。そして、復興庁と連携し、被災各県の被害状況などを伝える情報。復興関連のニュースに現地からの情報だ。

■防災意識の喚起、カギは「大学生」

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