さらに、阪神淡路大震災と比べて、復興支援の方法がより人間関係資本による事業型となったと指摘する。「阪神淡路では、ボランティア型が多かったが、東日本は事業型が増えた。東北には、文化、知恵、自然が残っている。これらのリソースを生かして、人間関係を再構築する復興支援事業が目立っている」。
佐藤さんは、民俗学者との対話の中で、東北人は故郷へのコンプレックス(東北コンプレックス)を内在的に抱えていることを学んだ。「歴史的に見たら、敗戦を繰りかえし、都市に利用されて発展してきた過去もある。ある意味、植民地のような顔も持つ」と話す。関西人と比べて、東北人は方言を話したがらないことも、コンプレックスが背景にあると推測する。
しかし、一次産業の最後の砦である東北には、魅力が多くある。例えば、食料自給率100%を記録しているのは、北海道と東北だけ。山や海など豊かな自然に囲まれている。「ポテンシャルを秘めていて、誇れる場所なのに、コンプレックスを感じるのはもったいない」と佐藤さんは話す。
■3偉人から学ぶ、復興の考え