杉原千畝は、日増しに増えていくユダヤ人を前に悩みに悩んだ。「ビザを出さなければ、彼らが殺されるのは目に見えている。逆にビザを出せば、自分の立場や家族の生活が危うくなってしまうかもしれない。ユダヤ人を見捨てることが、本当に日本の国益にかなうのだろうか」

彼は最終的に「人道主義、博愛精神第一」という結論にいたり、ビザ発給を決断する。その後は、寝る間も惜しんでビザを書き続けた。リトアニアを発つ駅でもビザは書き続けられ、発行されたビザは2000枚以上にのぼる。6000人の命が、ビザにより助けられた。

■新しい視点から忠実に描かれた、杉原千畝像
 
上のような杉原千畝の人生を忠実に描いたのが、「杉原千畝物語オペラ『人道の桜』」だ。今年5月にリトアニア国立劇場で世界初演が行われた。杉原千畝がビザを出したリトアニアの地での公演は成功裏に終わり、上演後も拍手が鳴り止まなかったという。今週末の7月26日には、杉原千畝の母校である、早稲田大学・大隈講堂で公演が行われる。

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