2016年卒学生の経団連加盟企業の選考は8月から。学生に人気の大手企業の多くが8月から採用活動を行うため、8月に就職活動を終えて内定辞退をする学生が増える見込みだ。採用時期の後ろ倒しにより、内定式や入社式直前での内定辞退が深刻化すると見込まれる。就職活動生一人にかかる採用コストは100万円を上回る企業も少なくない。マスメディアでは、そのコストを内定辞退で損失しないため、人事担当者は執拗に内定承諾を迫るという過剰な論調で騒ぎ立てている。
報道では、「内定を出すから今すぐにここで他社の内定を辞退しろ」「内定辞退したら損害賠償をする」などという異常な脅迫がオワハラとして紹介されている。就職活動生は、こうした報道を鵜呑みにし、オワハラを恐れ、人事担当者に悩みを打ち明けられないことも少なくない。
木村さんは、メディアが報道するこうした過剰な行為を「一部の悪質な事例であって、断じて一般的なことではない」と断言する。「こうした行為を企業が行えば、即座にSNSなどで広まり、その企業のブランドを危うくする。こういうオープンな時代にあってオワハラを実行する積極的な理由はない」。存在することは確かだが、話題を集めるために過剰な例を出して、それを一般的な行為とみなす報道側の責任は重い。
木村さんは、「人事担当者は、就職活動生一人ひとりと向き合うことが仕事。些細な悩みでも、素直に打ち明けてほしい」とする。「就職活動のゴールを内定にしてしまうと、本音が言いづらくなる。本音が言えないと、人事から誠実な対応が受けられず、自分の首を絞めてしまうことになる。内定は手段でしかない。その先を意識して」とエールを送る。
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