麻子さんにとってねぶたは、「本当の自分の生き方を指し示してくれたもの」。ねぶたに関わる前、何度か転職したという麻子さん。しかし、自分が何をしたいのか、今の仕事で良いのか、どの仕事をしていても、何か違うという感覚から逃れられなかった。

「ねぶたに出会って、大変なことも一杯あったんですけど、毎日がとても充実しています。自分が本当にやりたいことに出会えたのは、とても幸せなことだと思います」

女性初のねぶた師として、道なき道を切り開いてきた。そんな麻子さんは、昔から強い意志の持ち主なのかと尋ねると、意外な答えが返ってくる。「私は今まで、お稽古ごとも長続きしないし、本当にヘタレで、家族の中でも、「麻子は本当にダメだ」って、そんな感じでした。でも、ねぶたに関しては、違います。自分が本当にやりたいことを、見つけられたんだなって思います」。

夢を追う人へメッセージ:「何かこれだと思うものがあったら、妨げがあっても、あきらめないで」

夢を追う人にメッセージをと、頼むと、「私みたいなのが偉そうに言えることはないんですけど」という前置きの後に、こんなメッセージをくれた。

「まず、色々なことに挑戦してみて、自分が本当にやりたいことが見つかったら、私みたいに『女性だから』とか、実現までに、妨げになることってあると思うんですけど、そういうのに負けないでほしい。逆に、そういうことを理由にして止めてしまうということは、それだけの気持ちしかなかったということ。本当にやりたいことが見つかったら、とことんやってみてほしい」。


プロフィール
北村麻子 1982年10月生まれ。史上初の女性ねぶた師。2012年、デビュー作「琢鹿(たくろく)の戦い」で、新人としては異例の、優秀制作者賞を受賞。









1 2 3 4 5