「さとり世代」――「ゆとり世代」の次世代にあたり、浪費をしないで、のんびりと豊かに暮らすことを望む80年代以降に生まれた若者たちのことを指す。その、さとり世代の若者を主人公に描いた8月10日公開の映画『HOMESICK』(監督・廣原暁)をもとに、若手社会学者で『ネット選挙 解禁でもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)の著者西田亮介氏に話を聞いた。彼らはどこから来て、どこへ向かうのだろうか。(聞き手・オルタナS副編集長=池田真隆)

若手社会学者の西田亮介氏

*『HOMESICK』の内容
主人公の健二は、勤め先の社長が夜逃げして無職になった30歳。母は何年も前から行方知らず、父は辺鄙な土地でペンションを経営、妹は海外放浪中。ひとりで住んでいる実家の引き渡しが迫っているが、行くあてなどない。やりたいこともなく、無為に過ぎていく日々。そんなとき、夏休み中の小学生男子3人組が水鉄砲や水風船で家に奇襲をかけてきた。健二はホースの水で応戦、闘いごっこの果てに3人組は健二を水魔人と名づけ、毎日のように家にやってくるようになる――。第22回PFFスカラシップ作品に選出され、現在27歳の廣原 暁監督劇場デビュー作品となる。

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